2021年10月10日日曜日

気を取り直して

…自分の論文を投稿しました。今回は邦文、共著です。今年で最終年度になる科研費の共同プロジェクトが2件あるのですが、その成果を見据えて書いたものです。
・対人援助とセラピーにおける対話実践の身体性と社会性:対話空間のオラリティ研究
・困難を示す生徒・学生のための生態心理学的アプローチによる学習環境デザイン
 
今回は後者の研究代表者、札幌学院大学の森直久先生との共著です。共同研究を具体的に進めるあたりからコロナ禍になって学習環境が遠隔に変わってしまったので、対面とオンラインの会話の基礎的条件の違い、それがもたらす会話の質的差異について比較する研究に計画を切り替えました。論文では、対面での会話とZoomを使ったオンラインでの会話、1件ずつのデータを観察して分析しています。これは前者の「オラリティ研究」の趣旨にもぴったりです。
 
現物のデータを見ると、会話が進行するさいのキューやターンテイキングがいろいろ異なっているのがよくわかるのですよね。オンラインでは視線がキューにならないので、それに起因して発話者と聴取者の関係がうまくリンクしない点が対面とはいちばん違っていました。このあたりを「間身体性」というメルロ゠ポンティの概念で整理するのが今回の論文の眼目です。
 
今度は自分が査読を受ける番ですが、果たしてどんなお返事が返ってくるのやら。いずれにせよ、いい論文に仕上げて出版したいと思っています。