2018年4月17日火曜日

コイファー&チェメロ『現象学入門』・続報

この記事からすでに1年以上ですか…

コイファー&チェメロ『現象学入門』
https://embodiedapproachj.blogspot.jp/2017/01/blog-post_29.html

翻訳作業について、ようやく続報です。先ほど、訳者解説まで含めてすべて勁草書房の担当編集者さんにお送りしました! 今回はアメリカで研究中の宮原克典さんと共訳で取り組んでいるのですが、優秀な若手とのコラボは仕事が楽しいし捗るし、やっぱりいいものですね(ちなみに訳業に着手して1年以上経過していますが、翻訳にかけた実時間はかなり短いと思います)。
 
中身のことを紹介する時間が今はないので、興味のある方は上の記事をたどってみてください。現象学と心の科学の接点で書かれた本で、とくに身体性認知科学の未来を占う内容を含む一冊になっています。それを反映して、邦訳は『現象学入門-新しい心の科学と哲学のために』というタイトルで刊行することになりそうです。ともあれ、面白い本ですよ〜
 
さ、これから明日の教授会の準備をしなければ。管理職つら…。


 

2018年4月4日水曜日

新ジャーナル:Human Arenas

新年度ですね。

年度始めそうそう、「現代教養センター主任」というなんとも大変な辞令をいただいてしまいました。ぁぁあ、部署での立場や年齢を考えると管理職の業務が自分にも回ってくるのは致し方ないとはいえ、研究者として片づけねばならない仕事が山積している状況では、体が二つないと務まらないかも…と不安に感じている次第です。

ところで、辞令をもらったその同じ日に、嬉しいお知らせが届きました(あ、管理職の辞令が嬉しくないといっているわけではありません)。私も共同編集者(associate editor)として加わっている新ジャーナル「Human Arenas」のVolume 1, Issue 1がついに刊行されたそうです。
 
Human Arenas
Volume 1, Issue 1, March 2018


 
編集代表は、デンマーク、オールボー大学のルカ・タテオ氏と、イタリア、サレルノ大学のジュゼッピーナ・マルシコ氏のお二人です。私は文化心理学方面の仕事でお二人といろいろと仕事上の議論を共有しているうちに雑誌に参加することになりました。

このジャーナルは、かなり広めの読者と執筆者を念頭に置いて発行されています。発行元のSpringerのホームページでは「Cognitive Psychology」に分類されていますが、認知心理学だけではなくて、心理学の理論的基礎を扱う関係で、社会学、言語学、生物学、哲学など、隣接領域との議論もいろいろと扱っていくものになる見込みです。二人の後ろには博学なJaan Valsinerさんがアドバイザーとして控えているので、広角だけど芯はしっかりした雑誌になるのだろうと思います。

関心のある方は、ぜひ以下の原稿募集ページをご覧ください。学会ベースの一般的なジャーナルには見られない趣向が凝らされていることに気づかれると思います。

Call for articles and special sections
 
いろいろな趣旨の誌上特集にも柔軟に対応できるジャーナルなので、心理学の境界領域で特集を組んでみたい方なども、ぜひアイデアをお寄せください。

…というか、その前に次の特集号に自分の原稿を書かねばならないのですが、間に合うんでしょうか…



 

2018年3月29日木曜日

お礼申し上げます

3/24-25に開催した国際シンポジウム「Bosy Schema and Body Image」は、盛況のうちに無事終了しました。ご来場いただいた方々、発表してくれた方々、運営を手伝ってくれた方々、皆さまありがとうございました。
 
個人的な感想を少し。使用言語を英語にして最初にワークショップを開催したのは2012年だったのですが、あれから5年半たって、オーガナイズもかなり公共性の高いものにできるようになったと思います。
 
今回は最初からアタリアさんと二人で話を進めて、フォーマルな「依頼講演」はショーン・ギャラガー氏以外にはお願いせず、残りは発表を公募し、普段から緊密に研究協力している人たちにお声がけしたり、あとは学術系SNSにCall for Papersを掲載したりしました(発表13件のうち4件は、私もまったく面識がない人たちによるものでした)。
  
依頼講演の件数が多くなると、どうしても議論にある種の遠慮が出てしまいます。今回のシンポジウムのように学際的な場での議論には、分野の違いについてのリスペクトはもちろん必要なのですが、遠慮なく互いに言い合える雰囲気を作ることがとても重要です。でないと、新しい知見に気づいたり、既存の事実についての理解を深めたりすることが可能になりません。
 
そういう意味では、今回はとてもいい議論ができたと思います。身体図式も身体イメージも、神経科学的に見ると脳の中の身体表象(body representation)という理解ができるのですが、現象学的に見ると必ずしもそういう理解は適切ではありません。身体は知覚と行為の主体として世界に埋め込まれています。
 
つまり、「body in the brain」という見方を取るのか、「body in the world」という見方を取るのか、認識論的な枠組みの違いが問題になります。また、どちらの見方に立っているかに応じて、身体図式と身体イメージをどう区別するかという理解の違いも生じてきます。これがさらに広がって、具体的な各種の現象について、説明のしかたの枠組みを作っていくことになります。今回も、幻肢、ラバーハンド錯覚、痛覚失認、PTSD、拒食症、運動学習など、さまざまな現象に沿って図式とイメージの差異と相互作用が問題にされていました。
 
簡単に結論が出るわけではないのですが、認識論的な違いまで論点を明確にできると、議論全体のマッピングが可能になるようなしかたで、問題の構図が見えてきます。一方が正しくて他方が間違っている、ではなくて、ある議論はある範囲において部分的に正しく、別の議論は別の範囲において部分的に正しい、という位置関係が相対的に見えるようなマップです。今回は、身体性の問題をめぐって、そうしたマップがだいぶ見えた印象を持ちました。このマップを手がかりに、成果を一冊の本として編集したいと思っています。
 
今回も思いましたが、いい意味で遠慮のない議論のなかで、新しい実験の着想が可能になったり、現場での観察から理論への示唆が可能になったり、といった知の創造が可能になるのだろうと思います。次はどのような形で開催するか未定ですが、実験・理論・臨床というコラボレーションでの議論の場は続けたいと考えています。
 
ところで、今回は2017年度の秋学期に駒場の授業で教えていた学生さんたちが運営をいろいろと手伝ってくれたのですが、終わった後で彼らの目がきらきらと輝いていたのが印象的でした。次世代の人たちに何かが伝わると、やっぱりやって良かったな、と強く思います。
 



2018年3月16日金曜日

ずっと準備中の日々

授業期間と入試業務が終わった2月の中旬ごろから、講演やら発表やら、いろいろと人前でお話ししたり議論したりする宿題をこなす日々が続いています。備忘録を兼ねて書いておくと、こんな感じです。
  • 文明研究所での講演(2/24「20世紀人文思想における身体を振り返る」)
  • フックスさんに新著『Ecology of the Brain』についてインタビュー(3月冒頭)
  • ヨーロッパ学術センターでの国際シンポジウム「3rd Dialogue between Civilizations」で企画したパネル(3/8「Embodiment, Culture and the Self」)で話す内容の準備
  • 現代教養センターでの科研費と在外研究についての報告(3/14:在外研究報告会「生きられた〈私〉をもとめて」)

そして、ただいま以下2件の準備中です。

  • 3/21の国際シンポジウム「社会構築主義の視点と臨床の現場」での話題提供(「現象学的心理学の立場から」)
  • 3/24-25の国際シンポジウム「Body Schema and Body Image」でのレクチャー(「Body schema and body image in motor learning」)

 
うーむ。さすがにこうして毎週のようにトークが控えていると、1件終わると次の準備で頭の中を切り替えなくてはならないので、余韻のなかで考えを深めることができないですね。もちろん根っこではすべて現象学と身体論につながっているとはいえ、人前で話をして、議論をして何かを受け取って、それをもとに余韻のなかで考えて、という循環が早すぎて、まとまった文章や論文にする時間が取れません。
 
きっと、書くのが早い学者さんは合間の移動時間とかで論文のプロトタイプになる原稿を発表後にさらさらと書いてしまうのではないかと思いますが、私にはそこまでの器用さはないなぁ…
 
 

2018年3月6日火曜日

イベント案内(3/21@本郷)

近頃イベント案内ばかりになってしまっていますが…こりずに今日もご案内します(笑

国際シンポジウム
社会構築主義の視点と臨床の現場
--Vivien Burr教授をお招きして--

2018年3月21日(木) 13:00-17:15
東京大学本郷キャンパス 福武ホール
 

詳しい案内は下記ページで見られます。

以下から事前申し込みが必要とのことです。
 
田中も話します。「現象学的心理学の立場から」というお題をいただいています。自分でオーガナイズする別件の国際シンポジウム(Body Schema and Body Image)の3日前なのでなかなか準備が大変そうなのですが、社会構築主義と現象学的心理学の接点と違いについて考えるいい機会になりそうです。

ちなみに、バー先生の仕事って、大学院生の頃に訳本(上の写真にある『Social Constructionism』の初版の訳本です)で接して以来です。まさかあれから20年もたってご本人に仕事でお会いできるチャンスがめぐってこようとは。当時の読書メモとかどこかに残ってないかな… 
 
 


2018年3月3日土曜日

3/24-25国際シンポ・ポスター

前記事でもご案内しましたが、3/24-25に国際シンポジウム「Body Schema and Body Image」を開催します。
 
2018年3月24日(土) 09:30-17:30
2018年3月25日(日) 10:00-18:00
東京大学駒場1キャンパス・2号館3階・308教室
 
24日昼に発表もされる今泉修さんが、クールなポスターを作ってくれました(感謝です)。画像をここに貼っておきます。
 
 
PDF版も用意してあります。ここのページにアクセスしてみてください。
https://drive.google.com/file/d/1Bkx_rBikv-h7K2rCztw3S-ldkVJUoSUi/view
 
以下のページからオンラインで参加登録ができます(人数把握のため事前にご登録をお願いしています)。
参加登録:https://goo.gl/forms/650de8h9h0A7LgPe2 
 
3週間後のイベントになります。皆さまと会場でお会いできるのを楽しみにしています。 

2018年2月21日水曜日

国際シンポ(3/24-25@駒場)特設ページ

来月、2018年3月24日〜25日に国際シンポジウムを開催します。

2018年3月24日(土) 09:30-17:30
2018年3月25日(日) 10:00-18:00
東京大学駒場1キャンパス・2号館3階・308教室

ページを切り替えると特設ページに進めるほか、上記リンクをクリックしても同じページに進めるようになっています。
 
前にシンポジウムでイスラエルを訪問したことを記事に書きましたが、そのさいにいろいろと議論を共有した若手研究者にヨハイ・アタリアさん(テル=ハイ・カレッジ上級講師 / オープン大学研究員)という方がいます。今回のシンポジウムはアタリアさんと議論を進めるうちに共同でオーガナイズすることになったものです。
 
そこまで議論が深まるきっかけを提供してくれたのは、哲学者ショーン・ギャラガー氏の仕事です。ギャラガー氏は身体性と自己の関連について、所有感(sense of ownership)と主体感(sense of agency)という二つの概念で整理しています。アタリアさんも田中も、彼のこの仕事から影響を受けて仕事をしているので、イスラエルを訪れたさいにかなり深く議論を共有したのでした。
 
準備を進めるうちにこれはギャラガー氏本人にも出て欲しいよね、という話になってご本人に出演を依頼してみたところ、ご快諾いただきました。超多忙な方のため来日はかなわず、今回はオンライン出演ですが、25日の朝10時から基調講演で登壇される予定です。「Reimagining the body image」(身体イメージを再度イメージする)というタイトルをいただいています。どんな講演になるのか楽しみです。
 
ぜひ、発表メンバーとタイトルを特設ページでご覧ください。神経科学の議論から哲学的な議論まで、身体性をめぐって経験科学と哲学が対話するプログラムになっているのがおわかりいただけるかと思います。ギャラガー氏の著作のように、科学と哲学が対話することで新しい議論が生まれて来る場所になることと思います。ご期待ください。
 
講演はすべて英語なのでハードルが高いと感じる方も多いかもしれませんが、そういう方は将来の英語での発表準備の学習にご活用ください(笑)。どなたでも参加できます。費用は無料です。
 
以下のページからオンラインで参加登録ができます(人数把握のため事前にご登録をお願いしています)。
参加登録:https://goo.gl/forms/650de8h9h0A7LgPe2 
  
皆さまのご来場をお待ちしています。