このたび、知人の芹場輝さんが『こころの科学とエピステモロジー』誌に本訳書の書評を寄せてくれました。
力作の書評です(力が入り過ぎててところどころ熟語や漢字の選択が硬くで読みづらいですが…)。とくに、「3.本書の内容紹介」は1ページ程度できわめて正確に本書を要約しているので、ここだけ読んでも本書がどういう構成なのかがよくわかります。
なお、最後の「言語の現象学」について触れているくだりは、私自身も課題にしているところですね。身体性の問題から現象学に接近すると、スキルや「身体化された自己」など、どちらかというと環境と身体の相互作用に関心が向かいがちになります。とくに、ダイナミカルシステム理論を使って現象を記述するアプローチになると、そもそも物理的次元の記述だけが問題にされ、「心」なるものについての独立した記述は不要になりますし。
このブログでも何度か書いてきましたが、身体性・行為・知覚から論じ始めながら、言語を使うことで派生するナラティブの次元をどのように理論に取り入れていくかはとても重要です。今年から科研費で取り組み始めたプロジェクトもこの論点にかかわっています。なので、私自身の仕事は、『現象学入門』の翻訳作業が完了した地点からもう一歩前に歩き始めているという感じではあります。遅々として進まないのがもどかしいですが。
ともあれ、コイファー&チェメロ『現象学入門』のファンの皆さん、あるいは買ったけど積読になっている皆さん、途中で投げ出している皆さん。上記書評を読んでみてください。
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