『認知科学』第33巻1号
特集「人文学の新しい次元-量子論のメガネで覗く-」
かなりインパクトのある特集になっていると思います。本特集では、微小な物理現象を扱う量子力学そのものというより、その数理的・論理的枠組みをマクロな現象に応用する「汎量子モデル(Quantum-like Modelling)」に注目しています。非可換確率論や重ね合わせ、文脈依存性といった概念を用いることで、従来の古典論では「不合理」とされてきた人間の知覚、意思決定、美的認知などを、より精密かつ合理的に記述することを目指します。
特集では10本の論考を通じ、具体的な現象から理論的基盤までを網羅しています。
>現象論:人類学における観察構造、身体的知覚理論(私の担当分です)、美的認知の多義性、教育や臨床における不確定性、進化・文明史の因果論 、複雑系医学。
>本質論:アリストテレス哲学と因果論、量子測定のインストルメント理論、圏論による非可換確率論の再構成、量子シミュレータの活用。
量子コンピュータの実用化が迫る今、量子論的な認知フレームへの転換は、人文学を根本から刷新する可能性を秘めています。既存の学問領域を横断し、人間存在の複雑さに迫る特集になっていると思います。
文字面を見るだけで「難しそう…」という声が聞こえてきそうですね。まぁ、確かに難しい論文もありますが、実際に読んでみていただければ知的興奮に包まれるのではないかと思います。ご期待ください。
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