田中彰吾の心理学&哲学研究室
こんにちは、田中彰吾(東海大学文明研究所所長・文化社会学部教授)です。身体性に関連する心理学と哲学を研究しています。各種お仕事のご連絡はshg.tanaka@gmail.comまでお寄せください。
2025年12月6日土曜日
AI×身体×脳:身体を持ったAIと人間の共進化 (12/13 オンライン)
2025年11月13日木曜日
Miyahara & Tanaka (2025) Narrative Imprisonment
北海道大学の宮原克典さんとの共著論文が哲学ジャーナルの「Topoi」に掲載されました。
Miyahara, K., & Tanaka, S. (2025). Narrative imprisonment. Topoi: An International Review of Philosophy. https://doi.org/10.1007/s11245-025-10301-5
宮原さんとの共著はこれで2本目になります。だいぶ前にナラティブ論を始めた頃から科研費でご一緒しており、いまもCRESTのプロジェクトに宮原さんには参加してもらっています。
内容ですが、今回はTopoiで組まれたナラティブ特集(Possibilities and Limitations of Self-Narration)に投稿したものです。可能性と限界ということで、人が自分自身で生み出したナラティブにかえって閉じ込められる危険性について「Narrative Imprisonment」というオリジナルな概念で論じたものです。
本文にご関心のある方はご一報ください。論文原稿のファイルをシェアいたします。
2025年10月31日金曜日
メンフィスへ
2025年10月22日水曜日
希望を持つこと
2025年10月19日日曜日
備忘録
2025年10月10日金曜日
河野・田中 (2025) 注意欠如・多動症(ADHD)の身体性研究の鳥瞰図をえがく
2025年8月9日土曜日
『AIを外国語教育で使わない選択肢はもうない』
2025年7月1日火曜日
パラスポーツを通じた他者理解と共生 (田中, 2025)
2025年6月30日月曜日
新しい自然の概念
2025年6月23日月曜日
インタラクションとイントラアクション
買ってから1年以上積読になっていたカレン・バラッド『宇宙の途上で出会う』を読みました。ニールス・ボーアの量子力学をめぐる思索を「エージェンシャル・リアリズム」という独自の哲学的立場に発展させた一冊です。分厚いですが、すごく読み応えのある本でした。
フェミニズムにも影響を受けている著者なので身体についてもっと言及があるかと思いきや、実際にはそうでもないところが個人的には物足りなかったです(最後の章に出てくるクモヒトデの例が多少は参考になりました)。晩年のメルロ゠ポンティが「肉」という概念で考えたかった存在論はエージェンシャル・リアリズムの立場にも近いように思われるので、肉と身体の関係を考えていけば、読後に物足りなかった点を自分自身で考えられるかな、などということをぼんやりと考えています。
他方、バラッドが「エージェンシー」という概念を生物から物質へと拡張しているのですが、このアイデアはエナクティビズムの拡張と親和性があるように思います。生物が行為を通じて自己と環境を差異化し、相互作用(インタラクション)を通じて環境を認知している様子は、宇宙が内部作用(イントラアクション)を通じて自己自身を差異化しつつ物質・時間・空間を構成し、自己自身を認知している様子とパラレルに理解できそうです。
ともあれ、読みながら考えたことを自分でも形にせねば、と思わせてくれる一冊でした。
