来週は久留米シティプラザで日本心理学会が予定されています。
今年は、こんな企画でシンポジウムを組んでいます。
2017年9月22日(金),11:20-13:00,久留米シティプラザ(会場 4G/スタジオ2)
公募シンポジウム「行為から考える「私たち」」
企画:田中彰吾・片岡雅知,司会:田中彰吾,話題提供:片岡雅知,山本絵里子,高野裕治,高橋英之,指定討論:亀田達也
企画の趣旨はこんな感じです。
----------
人はしばしば「私」ではなく「私たち」という観点に立って行動する。ごく当たり前に集団で協力して行動するし,ときには自分を犠牲にして集団に尽くしたり,逆に同調圧力に負けて周囲に合わせてしまうこともある。そもそも,人は「私たち」の観点にどうやって到達するのだろうか。ひとつの方法は,「心の理論」のような推論能力を通じて互いの心を読み,理解を共有することだろう。だが,そうした能力を持たない子どもや動物も,「私たち」の観点から他者との協力や群れでの行動を遂行しているように見える。こうした「私たち」の観点は,推論以前に直接知覚できるもの,すなわち互いの「行為」にもとづいているのではないか。人や動物は,互いの行為を同期させたり相互に調節したりするなかで「私たち」の観点を獲得しているのではないか。本シンポジウムでは,この基本的なアイデアについて,人,動物,ロボットなどの観点から検討し,「私たち」に迫りたい。
----------
日心では2013年に「自己」、2015年に「他者感」をテーマにして議論したのですが、今年は「私たち」です。ジョイントアクション(共同行為)に注目すると、ひとは「私」ではなくて「私たち」というレベルで柔軟に行為しています。他者の行為の意図を理解し、それに合わせて自己の行為を調整し、自他で共同のゴールに向かって行為を進め、その過程をモニターし、うまくいかなければもう一度お互いに行為を調整してみる…
現象学的に「意識」に着目すると、意識はどこまでも「私」の意識経験でしかないですが、共同行為に着目すると「私たち」という観点にもとづく心的表象はいろいろと成立しているように見えます。加えて、「私たち」という観点が行為のレベルでいちど成立してしまうと、それは他者への期待や、自己の行為への義務のように、ある規範や倫理の次元を作り上げてしまう面もあります。今回のシンポジウムは、いうなれば、社会性へのミニマルなアプローチという意味合いを持つものになると思います。
学会に参加予定の皆さまは、ぜひ現地にてお会いしましょう。
た