この間何をしていたかというと、いろいろと迫ってくる大学の事務仕事の合間をぬって単著の執筆にもっぱら取り組んでいました。現在、2020年の4月刊行を目指して動いている企画があるのですが、その1章と2章、60ページ分くらいの執筆が終わったところです。さらにその合間に短い原稿をいくつか書いたりシンポジウムでの講演をこなしたりしていたので、まあ私にしては順調に進んでいるほうです。
内容とは関係ないですが、この間に身についたスキルがあります。私はもともと研究室で事務仕事をこなしながら原稿を書くということがまったくできない人間でしたが(自宅の書斎でしか執筆できませんでした)、できるようになったのです。
ひとつ単純なコツがあることに気づきました。研究室にいるさいに電話がかかってきたり人が訪ねてきたりすると、そこで自分の思考がいちど途切れるので、結果的に原稿が進まなくなります。自宅にいても電話はかかってきますが、書斎では自分の身体がすぐに執筆モードに戻れるので原稿が書けていたのです。研究室は電話に加えて人が来るので、自分の注意がどうしても対人関係に大きく割かれてしまって、執筆モードに戻るのに時間がかかります。しかも、身体がもともと「人の持ってくる案件に対応すること」に向かって潜在的に構えているので、そもそも執筆モードに入りづらい。
それで、授業期間が終わったのを境にそういう構えそのものを意識的にやめてみることにしました。人が来ようが、電話がかかってこようが、デフォルトの身体モードは執筆する状態に保っておく。自宅の書斎にいるときと同じモードで身体を使うのです(脳のモードと違って身体のモードは意識的なコントロールがききやすいようです)。大学の事務仕事を「研究と執筆の合間に対応すべきこと」としてモードを切り分けてしまえばよいのでした。図々しくなるってこういうことなんだなぁ、とも思いましたが…
というわけで、この1ヶ月ぐらい大学にいるときの身体のモードを切り替える訓練をしながら、研究室でしつこく執筆していました。昨年の4月に管理職になった頃は、大学にいる時間が長くなって研究はできなくなるなぁ、とよく思ったのですが、それから1年近く自分なりに工夫を重ねてなんとか両立する様なスキルを身につけ始めました。よかったよかった(といってもワークライフ・バランスが崩れて家族に迷惑をかけているのですが…)。
というわけで、来年の今頃には刊行直前でゲラの校正が終わるところまで仕上げていたいなぁと思っています。乞うご期待。
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