2023年7月1日土曜日

『自己と他者』後日談

いつも通り手短に。本日は2022年3月に出版した『自己と他者:身体性のパースペクティヴから』の後日談です。

①もう半年近く前になりますが、本書の一部が入試で出題されました。ひとつは早稲田大学(教育学部)で、ケルパー(物理的身体)とライプ(生きられた身体)の違いを扱った序文からの出題でした。問題の一部で内容的にかなり難しい箇所に傍線が引かれていて受験生がちょっと気の毒な気がしました。…できない受験生を落とすために敢えてそうしている、ということなんでしょうね。

もう一件、北里大学でも入試に使ってくれたそうです。こちらは第5章の乳児の社会的アフォーダンスを扱った箇所からでした。間身体性と社会的アフォーダンスを論じた箇所なので、著者としてもここを切り取って問題に使ってくれるのは嬉しいな、と感じる出題でした。

ちなみに、2017年に出版した『生きられた〈私〉をもとめて』は入試に使われたことがないのですが、書いた本人からするとこちらのほうが受験生には読みやすいし、出題もしやすいのではないかと思う次第です。もしかして、いくつか残っている誤植が足を引っ張ってるのかな?

②先月、本書の書評が『こころの科学とエピステモロジー』第5号に掲載されました。評者は芹場輝さんです。私自身が編集委員長を務めている雑誌なので若干「やらせ」な印象は否めないかもしれませんが、内容への評価はまっとうなものだと思います。離人症治療へのVR応用についての指摘は、私もほぼ首肯できる内容でした。一方、冒頭でマルクスに寄せて書評が始まっているところはなんとも大時代的で、ずっこけます(笑 

 

気づけば7月。本書『自己と他者』を第3巻に収めるシリーズ「知の生態学の冒険 J・J・ギブソンの継承」ですが、ついに最終巻の第9巻『アフォーダンス:そのルーツと最前線』が来月下旬には刊行されます。お楽しみに。