先日、カリフォルニア大学出版局 (University of California Press) の雑誌『Global Perspectives』から新しい論文が出版されました。理研の入來先生との共著になります。
Iriki, A., & Tanaka, S. (2024). Potential of the path integral and quantum computing for the study of humanities: An underlying principle of human evolution and the function of consciousness. Global Perspectives, 5(1). https://doi.org/10.1525/gp.2024.115651
昨年の7月から理研の客員研究員を務めているのですが、そちらでの仕事の最初の本格的な仕事になります。ちなみに、所属は「未来戦略室」で、RIKEN Quantumの人文学分野(!)の共同研究に従事しています。Quantumは量子コンピュータ関連の研究を推進している部署になるのですが物理学、化学、計算科学などにならんで人文学の部門が設けられているのは驚きですよね。
私は学位論文の頃にユングの共時性を扱ったのですが、ユングの共時性が物理学者パウリとの共同研究に端を発していたことがあり、当時量子力学をわからないながらに随分学んだのでした。量子コンピュータが実用化されたことでひょんなことからまた量子力学の世界に迷い込むことになってしまったのですが、改めて学び直すなかで現象学との同時代性や発想の類似性にいろいろと驚いています。
この論文では、入來先生と重ねてきた議論の一部を形にしてあります。人類進化と意識の問題をファインマンの経路積分に絡めて論じるという壮大な知的冒険の論文になっています。面白いので多くの方に読んでいただけると嬉しいです。DOIをクリックすると本文にたどり着けます。