2019年1月2日水曜日

質的心理学辞典

昨年紹介を怠っていた仕事がありました。これです。
 
 
『質的心理学辞典』
能智 正博(編集代表)
香川秀太・川島大輔・サトウタツヤ・柴山真琴・鈴木聡志・藤江康彦(編)
新曜社,2018年11月30日発売
 
私も以下の8項目を執筆しました。
・解釈学
・解釈学的循環
・現象学
・実在論
・実存
・心身二元論
・身体化
・超越論的現象学

解釈学や解釈学的循環の項目は私よりもふさわしい執筆者がいるのではないかとも想像しましたが、考えてみると新曜社から刊行させていただいた翻訳書ラングドリッジ『現象学的心理学への招待』はリクールの解釈学に大きく影響を受けて展開している新たな現象学的心理学の方法を紹介しているものだったので、いちおう担当範囲内だったのかもしれません。

この辞典は、現象学や解釈学だけでなく、心理学の哲学・原理・歴史・方法といったところにきちんと目配りが効いているので、心理学の「そもそも論」に関心のある人は手元に置いておくと便利です。哲学・人類学・社会学・精神医学・障害学・看護学などの関連領域の項目も多々あって参考になります。
 
ところでこの辞典、全1098項目が収録されています。辞典としては決して規模の大きなものではないのですが、出版までのスピードの速さに驚きました。執筆依頼をいただいたのが2017年7月で、最初の原稿締め切りが10月、そして2018年11月末の質的心理学会の大会では製本された初版がブースに並んでいる、という流れでした。辞典ものは執筆者の数が多くなるので、締め切りを守れない執筆者が自然と増え、刊行が当初予定よりずれ込むことが多いのですが、刊行までほぼ当初予定通りでした。すごいですね。私も別件である書籍の編集にたずさわっているので、見習いたいものです。