2020年3月14日土曜日

雑誌『体育の科学』に寄稿しました

昨年9月に久々に体育学会のシンポジウムに登壇する機会があったのですが、そのときにお話しした内容をもとに執筆した原稿が『体育の科学』に掲載されました。

体育の科学70巻3月号:特集「eスポーツを考える」(杏林書院)

特集には、当日シンポジウムでご一緒した秋吉遼子氏(東海大学)、佐藤晋太郎氏(早稲田大学)も寄稿されています。お二人ともわりと網羅的に論点をおさえているので、eスポーツに全般的に関心のある人には参考になる紙面構成になっていると思います。

私の寄稿分は以下のような構成です。

田中彰吾「身体性哲学からみたeスポーツ」
 1. eスポーツと他のスポーツとの共通点
 2. eスポーツに固有の特徴
  1) 身体図式の利用方法
  2) 仮想空間への適応
 3. スポーツの身体的経験と情報技術

もともとeスポーツの専門家ではないのでたいした内容は書けていないのですが、体育哲学的な論考としては日本では今のところあまり例がない考察になっているかと思います。

ちなみに、「eスポーツはスポーツじゃない」という主張は世間でもよく聞かれるところですが、それはeスポーツを考えるさいの問題ではありません。本当の問題は、情報技術の急速な進化とともに、ひとの身体経験そのものが劇的に変化しつつあることです。eスポーツを考えることは、情報化された未来の身体について考えることでもあります。今回の原稿では最後に少し触れただけですが、いずれこのことの意味を、VR技術やBMIなどとも合わせて、じっくり考えてみたいと思っています。