8月に再開したポール・リクール『他者のような自己自身』の読書会、その後も2〜3週に1回のペースで開催しています。当初、序言>第3研究>第4研究と読み進めたのですが、再開以降、第1、第2に改めて取り組みました。今回は同僚の村田憲郎氏力作の第2研究のレジュメをアップしてあります。
ポール・リクール『他者のような自己自身』 第2研究「言表行為と語る主体」
本書全体が分析哲学と現象学・解釈学の対話という論調を備えた著作なので、分析哲学の素養のない私には読むのに骨が折れる箇所も多々あるのですが、本書が書かれた1990年ごろの言説状況を考えると、当時のフランスのポストモダン系の議論ではなく分析哲学との対話を押し進めることで、リクールは「主体」や「自己」をめぐる議論を解体するのではなく再構築する方向で議論ができたのだろう、というのが所々でわかります。フーコーやドゥルーズが進んだのとは別の方向ですね。
ところで、昨日の読書会でたまたま年齢の話になりました(村田氏と私は同年です)。ともに40代が終わりに近づいているのですが、フッサールのように晩成型の代表のような哲学者でも前半の代表作である『論理学研究』は40過ぎですでにものにしているんですよね。40代の終わりに近づいても遅々として仕事がものにならない自分たちの境遇を省みて、二人して自己嫌悪に陥ったのでした…
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