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章題:「身体性に基づいた人間科学に向かって」
1節:心の科学と身体性の問題
・認知科学の始まりをふり返る
・行動主義と認知主義
・哲学的に整理すると…
・心身二元論がもたらした問題
・「私は考える」から「私はできる」の認知科学へ
2節:身体性認知とは何か
・認知は身体性に依存する
・ヘルドとハインの古典的実験
・概念化仮説
・置換仮説
・構成仮説
・4E認知
とりあえずここまで書いた。続きの節はこうなる見込み。
3節:これからの身体性認知を展望する
4節:来るべき人間科学のために
与えられた文字数が23000字なのだが、2節まで書いたところですでに14000字を超えている。このままで行くと3節まで書くとほぼ終わりになってしまうので、当初予定していた3節と4節はまとめて3節にして、あとは「結論」みたいな短い節にするほうがいいかもしれない。
前回も書いたけど、講座本に収録される原稿なのだから、きっちりと書くべき論点を整理して10年くらいは読むに堪えるものを書いておきたいと思っている。とくに、認知科学に関心のある人たち、研究をやってみたいなと思っている人たち向けに、しっかりした歴史的回顧と、魅力的な将来展望に満ちたものを書いておきたい。
そういう趣旨の文章を書くには、書き手の頭の中で哲学的な論点が整理できていなければならないのだが、書いてみてわかるのは、やはりメルロ゠ポンティが『知覚の現象学』でやろうとしていたプロジェクトが身体性認知科学を強く予見していたということ。加えて、今回改めて1節を書いていて気づいたのは、ギルバート・ライルが『心の概念』で試みていることは部分的にかなりメルロ゠ポンティの議論に近いということ。二人とも、スキルフルな身体的行為として実現されているものを「心的なもの」として理解しようとした先駆者だったのだ。