2017年5月16日火曜日

アーカイブの資料追加(『現象学的心理学への招待』1-5章)

研究アーカイブに以下の資料を追加しました。
  
D・ラングドリッジ (2007/2016). 田中彰吾・渡辺恒夫・植田嘉好子訳『現象学的心理学への招待-理論から具体的技法まで』(第1-4章)新曜社

D・ラングドリッジ (2007/2016). 田中彰吾・渡辺恒夫・植田嘉好子訳『現象学的心理学への招待-理論から具体的技法まで』(第5章)新曜社
 
今回の資料は、ダレン・ラングドリッジ『現象学的心理学への招待』の要約です。先日、能智正博先生が主催する臨床心理学研究会という集まりに初めて参加しました。この本を取り上げて読書会を実施するので、田中は訳者ということでお声がけいただいたのがきっかけでした。

渡辺先生、植田先生、田中と、訳者3人はそろって参加したのですが、東大の会場まで足を運べたのは渡辺先生のみで、植田先生と田中はスカイプで加わりました。開始が14時だったのでドイツは朝7時(!)でした。いや、朝7時は普通に起きていることのほうが多いのですが、この日は前日に全編をもういちど読み通すという作業をやっていたら終わったのが深夜3時前で、実質3時間ぐらいしか寝ていなかったのでした。

しかしこうして学び直すと得るものは多いです。参加できて幸いでした。というのは、訳者であっても、原著の理解に行き届かないところは残るのですよね。翻訳するときには原文をできるだけ明示的に理解するよう努めていますが――この場合の「明示的」は、著者の主張を日本語にして、さらにそれを自分の言葉で語り直すことができるくらい、というのが目安です――自分の得意でない分野を扱っている箇所はそこまでの明晰さがなかなか及びません。読書会で他の人のコメントを聞いたり、自分で説明を加えたりしながら、暗黙の理解にとどまっていたことが改めて明示的な理解に転換したポイントがいくつかありました。
 
今回は、能智先生のご協力でレジュメを当サイトの資料としてご提供いただきました。当初の予定では読書会当日に最終章まで読み切ることになっていたそうですが、内容がなかなかハードなので、今回は前半5章までで終了しました。レジュメは、1~4章を能智先生が、5章を博士課程の横山さんが担当されています。

次回は6月10日(土)だそうです。次回のみの参加も可とのことですので、ご関心のある方は田中までお問合せください。現象学に裏付けられた質的研究に関心のある皆さんにとっては、心理学を専門にしていてもいなくても、学ぶことがとても多い本だと思います。