久しぶりにエンボディードアプローチ研究会を開催することになりました。コロナ禍で開催が滞っておりましたが、12月19日にZoomでの開催を予定しています。
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<心の科学の基礎論研究会(第87回)&エンボディードプローチ研究会(第9回)・合同研究会>
日時:2020年12月12日(土),午後1:30〜5:30
Zoom開催
下記のフォームから参加をご登録ください。12月11日17時までにご登録いただければ、Zoomの会場をメールでご案内します。
【プログラム】
13:30〜13:40
「こころの科学とエピステモロジー奨励賞」授賞式
13:40〜15:30
講演1(受賞記念講演)「私小説の疑似客観性をめぐる転回に関するネオ・サイバネティクス的研究」
中村肇(東京大学大学院・博士課程)
【要旨】近代文学に於いて純粋な西欧の科学的客観信仰に基づいた形式論理と操作推論による情報処理パラダイム(ノイマン・パラダイム)を導入しようとした自然主義時代の文壇から田山花袋の『蒲団』や白樺派をはじめとする私小説が生まれたという逆説は,「見たものをありのままに描くことが出来る」という近代的な価値観に対する身体性(=生命情報)に基づく主観と客観の〈ねじれ〉をあらわしていた。では,こうした機械主義的かつサイバネティック・パラダイム的な主観と客観のねじれのなかで展開される我が国の現代文学は,凡そ百年前と現在との間でどのような異同がみられるのであろうか。本発表では上記の問題を,ネオ・サイバネティクスと総称される学際的研究分野の一領域である基礎情報学(FI:Fundamental Informatics)の観点から考察する。
15:40〜17:30
講演2「行為に基づく知覚の説明とその哲学的洞察」
國領佳樹(立教大学・兼任講師)
【要旨】知覚とは知識の主要な源泉の一つである。つまり、知覚は、世界に関する基礎的な信念を私たちにもたらし、それを正当化する役割を担っている。伝統的に、この基本的な考えに基づいて、「知覚と信念との関係とは何か」「知覚はどのように信念を正当化するのか」といった認識論的問題が、知覚の哲学を駆動させる主要な動機の一つとなっていた。
しかし他方で、知覚は行為とも密接に結びつく。たとえば、私が横断歩道を渡るのは、信号が緑になったのを見たからであり、車が一時停止しているのを見たからである。つまり、知覚は信念を引き起こし、それを正当化するだけではなく、何らかの行為も引き起し、あるいは少なくとも、そうした何かを為す理由の一部を形成しうる。
以上のように、知覚は認識論的な課題だけではなく、実践的な課題にも重要な仕方で結びつくのである。そして、後者の観点から、知覚とは何かを考える流れがある。ひろくこのような行為との関係を重視する見解を、「行為に基づく知覚の説明」(Action-Based Accounts of Perception)と呼ぶことにしよう。
本発表の目的は、行為に基づく知覚の説明が、知覚の哲学にどのような洞察をもたらすのかを明らかにすることにある。まず知覚と行為に関する伝統的な見解を確認し、つぎに、行為に基づく知覚の説明のなかでも、その中心的な主張(行為が知覚と構成的関係にあるという主張)の内実を検討する。そのうえで、知覚の哲学における主要な議論(素朴実在論と表象説の対立など)のなかで、当該の主張の意義と問題点を明らかにしたい。
主催:
心の科学の基礎論研究会
https://sites.google.com/site/epistemologymindscience/kokoro
エンボディードアプローチ研究会
http://embodiedapproachj.blogspot.com/p/blog-page.html