2019年12月27日金曜日

人間科学研究会

2021年7月に東京で開催されるInternational Human Science Research Conference(人間科学研究国際会議)の準備のため、以下の通り研究会を開催しました。

人間科学研究会
日時:2019年12月25日(水),13:30-18:00
会場:大田区産業プラザ(PiO)  https://www.pio-ota.net/

報告者
01) 田中彰吾(東海大学)「IHSRC 2021に向けて」
02) 渡辺恒夫(東邦大学)「過去のIHSRCでの報告内容」
03) セビリア・アントン(九州大学)「教育倫理学の質的研究」
04) 河野哲也(立教大学)「2021年大会での企画」
05) 奥井遼(同志社大学)「わざの現象学に向けて-IHSRCでの体験」
06) 玉井健(高知リハビリテーション専門職大学)
07) 村井尚子(京都女子大学)「教師の専門性と教育的タクト」
08) 佐々木英和(宇都宮大学)「会話型社会と手紙型社会」
09) 植田嘉好子(川崎医療福祉大学)「対人支援領域における現象学的研究」
10) 北谷幸寛(富山大学)「研究紹介(安楽に関する研究)」
11) 吉田章宏(東京大学)「A record of Akihiro Yoshida's participation in IHSRC」


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以上、事後報告ですが、研究会の開催記録としてここに掲載しておきます。(なお、手元のメモに沿って記録したので、発表タイトルが必ずしも正確ではない場合があります。タイトル情報の修正をご希望の先生は随時情報をお寄せいただけると助かります)
 
今回は、IHSRCに参加経験のある方々中心にお声がけをして、参加者は全員発表するという形式で実施しました。第1回の準備会合としては大変有意義な交流の場になったと思います。
 
東京大会に向けて、学会でのシンポジウム企画等も含めて、今後も準備イベントをいろいろと開催する予定です。関心のある皆さまは、ぜひ2021年IHSRC東京大会にご参加ください。今後も関連情報をこのブログでも発信していきます。
 


2019年12月11日水曜日

現象学入門:増刷決定!

宮原克典さんと共訳・出版したコイファー&チェメロ『現象学入門-新しい心の科学と哲学のために』(勁草書房・2018年)の増刷が決まりました。読者のみなさま、暖かいご支援をいただき、ありがとうございます!

本書、初版は1500部印刷していたのですが、発売から約1年半で増刷500部までこぎつけました。かなり好調な売れ行きらしいです。

ちなみに、先日、離人症の書籍リストを作ってくれた芹場輝さんから連絡があり、本書の書評をいま書いてくれているとのことでした。どんな書評になるのやら、楽しみにしています。

現象学の未来に関心のある方も、認知科学の未来に関心のある方も、引き続き本書をご愛顧いただけますと幸いです。
 

 

2019年12月10日火曜日

ISEAP パネル (12/15 明治大学)

今週末、明治大学で東アジア哲学の国際会議があります(International Society of East Asian Philosophy, ISEAP 2019)。そちらで立教大学の河野哲也先生のオーガナイズによるパネルに登壇します。テーマはIntercorporeality(間身体性)です。

"Proposing new perspectives on "intercorporeality" from East-Asian philosophical viewpoint"

Chair: KONO, Tetsuya
Speakers:
- KONO, Tetsuya (Rikkyo University): The concept of Ma and Manai in Zeami and Munenori Yagyu
- ITO, Takayuki (International Research Center for Japanese Studies): Chinese philosophy, history of pre-modern Chinese thought, cultural interaction in East Asia
- TANAKA, Shogo (Tokai University): Intercorporeality and Aida: An alternative view of social understanding
- INUTSUKA, Yu (University of Tokyo): Individuality and sociality of the subject in Merleau-Ponty and Watsuji

このメンバーでの共演はもう三年連続になります。河野先生、伊東先生とは2015年から数えるとさらに長くて五年続きです。しかも、2015年の京都カンファレンス、2016年の国際心理学会議、2017年の国際理論心理学会、2018年の世界哲学会…と、すべて国際会議です。現象学、中国哲学、日本哲学、心理学というなんとも「なんでもあり」なチーム編成なのですが、しかし根っこで「心身問題」という共通の問題意識があるので、議論はいつも不思議と噛み合った様相を呈します。伊東先生だったかな、このメンバーでの議論を「異種格闘技のような緊張感と面白さ」と評していたのは。
  
この手の議論を日本語でやろうとすると、同じ言葉でも業界ごとの使い方の違いとか、分野による手垢のつき方の違いとかで、かえって細かいことが気になって議論にならない気がします。母国語でできないつらさはありますが、英語の議論はもとのコンテクストから解放される自由な感じがあって、いいものです。
 
というわけで、今年も異種格闘技の準備をしますか…
 

 

2019年12月9日月曜日

ポスト身体性認知

先日、青山学院の鈴木宏昭先生の研究会でお話する機会がありました。

プロジェクション・サイエンスを推進している研究会だったのですが、そこで初めて「ポスト身体性認知」というテーマで話してきました。現状の身体性認知科学の研究は、一見すると華やかに流行しているように見えますが、アプローチが一面的なのでいずれ行き詰まるのではないかと思っています(思考や言語処理などの高次認知が身体性や身体経験に依存していることを示す研究が大半を占めているという意味です。ダイナミカルシステムやアフォーダンスのような方法論そのものが行き詰まっているという意味ではありません)。
 
それで、プロジェクション・サイエンスの話を認知科学会のシンポジウムで聞いたときからずっと、現状の身体性認知研究を打ち破る方向性と、プロジェクションという概念を関連づけることができるのではないかと漠然と感じていたのですが、そのアイデアについて初めてまとまった内容の話をしてきました。じつはプロジェクションという概念をメルロ゠ポンティも使っていて、この点を注意深く考えると現状の身体性認知で取られている主要なアプローチを超えていく方向性を示せそうなのです。
 
詳細はいずれ、プロジェクションに関連する書籍のなかに1章として収められることになると思います。1月末が原稿の締め切りらしいのですが、間に合うことやら…
 

 

2019年12月3日火曜日

現象学の定義23 (Yoshida 2020)

現象学的心理学/教育学で知られる吉田章宏先生からご連絡をいただきました。

以前、カンザス州立大学のDavid Seamon氏が集めた現象学を定義する23の短い英文があるのですが、それを吉田先生が日本語に訳されたそうです。Seamon氏が発行する電子ジャーナル「Environmental & Architectural Phenomenology」に近く収録されるそうですが、一足お先に翻訳部分のPDFをここでご紹介しておきます。以下のリンクからどうぞ。

Yoshida, A. (2020). Japanese Translation of “Twenty-Three Definitions of Phenomenology”. Environmental & Architectural Phenomenology, 31, 29-36

こうしてみるとすべて現象学の定義に確かになっているとは思うものの、光の当て方がさまざまで見え方もさまざまなので、「Phenomenology」と言わずに「Phenomenologies」と言うべきかもしれませんね。