2024年6月1日土曜日

単著が出ます(『身体と魂の思想史』)

しばらく更新を怠るとすぐに一月近く経ってしまいますね。この間、海外出張があったりしていつもながら慌ただしく過ごしておりました。

さて、本日もお知らせです。しばらくぶりに単著が出ます。今回は講談社選書メチエから。編集を担当してくれた林辺さんが素晴らしいメインタイトルを付けてくれました。





















 
青みがかったターコイズグリーンというか、やや緑のマリンブルーというか、とにかく爽やかな色調の表紙に仕上がっていますが、本文は決して爽やかではありません。タイトルに「身体と魂」という言葉が入っている時点で、「深い」「暗い」「濃い」という連想が広がるのではないかと思います。まぁ、もともと私の書くものに爽やかさはおよそ似つかわしくないのですが。

サブタイトルの「大きな理性」はニーチェに由来します。ニーチェが『ツァラトゥストラ』の中で身体を「大きな理性」と呼んでいる箇所があるのです。

「身体はひとつの大きな理性だ。ひとつの意味をもった複雑である。戦争であり平和である。畜群であり牧者である。」(岩波文庫版、上巻五一ページ)

本書の依頼をいただいた時、この言葉をめぐって一冊書くことにすぐ決めました。その昔、ボディワークをテーマに修士論文を書いた際、最後にこの箇所を引用して論じ切れないまま終わっていたからです。四半世紀前に書いた修士論文に決着をつけるべく書いたのが本書です。…などと書くとまた「青臭い」と思われそうですが、書くというのはいつまでたっても青臭い——良く言えば色褪せない——自分の初心にこだわることなので致し方ありません。

ともあれ、読み応えのある一冊になったと思います。身体をめぐって、生きることの意味を考えたい皆さまに贈ります。