2024年9月28日土曜日

「eスポーツの身体論」(田中,2024)

また例によって1ヶ月近く更新できないまま時間だけが過ぎましたが…

新しい論文が出ました。

田中彰吾 (2024)「eスポーツの身体論-コンピュータに媒介される拡張身体の経験」『思想』2024年10月号(no. 1206)pp. 162-177

急に依頼されて時間のない中でとにかく書き上げたものなので「やっつけ」感が否めないかもしれません。が、ともかくeスポーツの基本になる論点はおさえてあると思います。とくに日本では「eスポーツはスポーツか?」という問いがいまだに問題になりがちなのですが、この原稿では「スポーツである」という立場を明確にして論じています。

そもそも、この問いが問いになる以前に、情報化する社会のなかでスポーツ経験そのものが情報技術によって媒介され変質しつつある現実があるわけなので、eスポーツをスポーツから除外しようとする問題意識のほうがむしろ近代スポーツのイデオロギーにとらわれているのだろうと思います。ことにVRが発展した未来においてはスポーツとeスポーツの境界はどこまでも曖昧になることでしょう。この論考がそういう未来の身体について垣間見る一助となれば。