2021年10月23日土曜日

訳者みずからレジュメ作り(2)

コイファー&チェメロの『現象学入門』、前回のフッサールに続いて今回はハイデガーを扱った3章のレジュメを作りました。

S・コイファー&A・チェメロ『現象学入門――新しい心の科学と哲学のために』

第3章 マルティン・ハイデガーと実存的現象学

本書のハイデガーの解説は出色だと思います。『存在と時間』の核になるアイデアをこれだけ分かりやすくかつ端的にまとめたものに私は出会ったことがありません。本文がわかりやすいので訳者の私があえてレジュメを作る必要はないのかもしれませんが、本文を読むお供にご利用ください。

それにしても、本文最後にも書いてありますが、技能を根幹に据えて哲学を展開したハイデガーが「身体」も「知覚」もほとんど論じていないのは不思議です。身体や知覚を主題にすると近代哲学の主観・客観の二元論の落とし穴にはまり込んでしまうように考えていたからかもしれませんね。