先月末、ノルウェーのモルデで開催された国際会議 (38th International Human Science Research Conference) に参加してきました。
モルデは北緯62度、しかも訪れた時期が夏至直後ということで、夜らしい夜がなくほぼ白夜に近かったです。初めての経験だったのですが、1週間現地にいるとかなり疲れました。というのは、深夜もずっと空が明るくて、ホテルのカーテンもなぜか薄く、眠りについても明け方まで何度も目が覚めてははっとして時計を見る、ということを毎晩繰り返していたからです。明るさ〜暗さのサイクルがいつもと違うので、「何時間寝たか」というのが覚醒時の明るさで直感的にわからないのですよね。
それで、表題の件です。昨年の大会に行った時に東京での開催を関係者に話してみて好感触だったので、今回は正式にビジネスミーティングで2年後の東京開催について提案してきました。…で、めでたくその場で承認されました!「東京開催なら参加したい」との声も複数寄せられ、とても好感触でした。北緯62度の街まで足を伸ばした甲斐がありました。
この学会は、現象学を中心とする人間科学、とくに心理・教育・看護・福祉などの関連分野の方々が集まって議論している場所です。現象学に由来する質的研究を実践する研究者が集まる学会としては、国際的にはもっとも長い伝統を持っていると思います。隔年で北米とヨーロッパを往復して開催されていて、アジアでは過去に一度だけ2001年に東京で開催されています。次の2021年は20年ぶり二度目のアジア開催、しかも40回目という記念すべき回になります。
これから準備が大変になりそうですが、関連する研究分野のみなさまは期待してお待ちください。日本で蓄積されている研究成果を国外に発信する貴重な場になることと思います。現役の研究者だけでなく、大学院生にも発表の場を広く開放したいと思っています。
た
こんにちは、田中彰吾(東海大学文化社会学部教授/大学院文学研究科長/文明研究所所長)です。身体性に関連する哲学と心理学を研究しています。各種お仕事のご連絡はshg.tanaka@gmail.comまでお寄せください。
2019年7月16日火曜日
2019年7月3日水曜日
合同研究会案内 (7/27 明治大学駿河台)
以下の通り、7月27日(土)に明治大学にて研究会を開催することになりました。今回は質的研究との接点で現象学について考えてみます。2016年に田中・渡辺・植田のチームで翻訳・刊行したD・ラングドリッジ『現象学的心理学への招待-理論から具体的技法まで』(新曜社)がとても近いテーマを扱っています。質的研究にご関心のあるみなさま、広くご参加をお待ちしております。
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心の科学の基礎論研究会(第85回)&エンボディードアプローチ研究会(第8回)・合同研究会
日時:2019年7月27日(土),14時〜17時
場所:明治大学駿河台キャンパス,研究棟4階・第1会議室
(https://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html)
プログラム
司会:植田嘉好子(川崎医療福祉大学)
14:00-14:10 趣旨説明:田中彰吾(東海大学)
14:10-14:50 話題提供1 田中彰吾(東海大学)
「ナラティヴ・アイデンティティと現象学的研究」
14:50-15:30 話題提供2 渡辺恒夫(東邦大学)
「「コミュ障」の批判的ナラティヴ現象学」
15:30-15:50 休憩
15:50-16:30 話題提供3 セビリア・アントン(九州大学)
「自覚のための教育—ライフ・ストーリー面談とナラティヴ・セラピー面談の比較研究」
16:30-17:00 ディスカッション
指定討論者:森直久(札幌学院大学)
講演要旨
1)「ナラティヴ・アイデンティティと現象学的研究」田中彰吾(東海大学)
よく知られるように、ナラティヴの概念は認知心理学者のブルーナーが1980年代に提起したもので、「ナラティヴ様式」は科学的研究を支える「論理-科学的様式」には還元できないとされる。この主張は、人間行動の科学的法則を探る量的研究とは区別して、人々の発する語りにもとづく質的研究を促進するものになっていた。ここから各種のナラティヴ・アプローチが派生することになるが、この発表で着目したいのは「ナラティヴ・アイデンティティ」の概念である。哲学者のリクールは、人々がみずからの人生について物語る行為が、物語の主人公としての自己アイデンティティを構成する点に注目している。人生を語るナラティヴには、自分の生きてきた過去を振り返り、将来の生き方の可能性をさぐることで、時間的に一貫した自己を構成する作用がある。現象学的心理学のラングドリッジは、リクールの考えを発展させ、社会的文脈との関係で語られざるままにとどまっている自己を読み解く方法を「批判的ナラティヴ分析(Critical Narrative Analysis, CNA)」として提唱している。この報告では、ブルーナーとリクールの考えを再度整理したうえで、CNAを中心としてナラティヴ心理学と現象学が連携する質的研究のあり方について考察する。
2)「「コミュ障」の批判的ナラティヴ現象学」渡辺恒夫(東邦大学)
現象学とナラティヴ心理学は両立不可能と見なされることが多いが、リクールとラングドリッジの批判的ナラティヴ分析に基づいて考案された「批判的ナラティヴ現象学」では、現象学とナラティヴ分析が「地平融合」の過程で互いに収斂することを、「コミュ障」研究を通じて示す。このスラングは若い世代によって、「非社交的」「対人スキルに乏しい」を意味する自嘲語として広く用いられている。本研究(渡辺、2019)では社交上の困難を訴えてオンライン上の援助を求め、読者がアドヴァイスする4事例が検討された。ナラティヴ分析によって全テクストは「垂直的ナラティヴ」対「水平的ナラティヴ」に分類された。前者では問題の原因が当事者の意識外に求められるため専門家の介入を要する。原因を「資本主義的生産様式」や「脳の不調」に求めるマルクス主義的ナラティヴや医科学的ナラティヴが代表だ。水平的ナラティヴでは原因は地平(=視座)が違えば異なる相を見せる。読者とのやり取りの過程を通じて多くの「水平的ナラティヴ」に接することで自尊感情を回復し、重要な自己洞察に達する例に、現象学的な「地平融合」が認められる。
3)「自覚のための教育―ライフ・ストーリー面談とナラティヴ・セラピー面談の比較研究」 セビリア・アントン(九州大学)
森昭(1915-1976)は戦後の日本教育学会を主導した教育哲学者のひとりである。森はプラグマティズムと実存主義を調和させ、その上に人間科学(特に発達心理学)を加え、「教育人間学」のアプローチを確立した。そのアプローチは教育における「自覚」「覚醒」を強調したが、その方法は「ナラティヴ教育学」と言える。森は二つの異なるナラティヴ教育を要求した―全体的なナラティヴ・アイデンティティのための教育、および、より流動的・偶然的なアイデンティティのための教育である。本発表において、私は、以上の二つのナラティヴ教育に相当するナラティヴ面談を考察したい。第一は、Dan McAdamsの「ライフ・ストーリー面談」(2008)である。理論的に見て、これは森の発達的教育論に類似している。第二は、マイケル・ホワイトとデイヴィッド・エプストンのナラティヴ・セラピーである。この方法は、教育カウンセリングにも応用されており、森の後者のナラティヴ教育に近い。私はこれを、Critical Narrative Analysisに類似した形で質的研究の面談として使えるものと考えている。以上をふまえ、最後に、ナラティヴ教育の授業(大学院)で取得した、両面談の(準備段階の)データを比較し、この二つのナラティヴの具体的な相違点と類似点を検討したい。
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心の科学の基礎論研究会(第85回)&エンボディードアプローチ研究会(第8回)・合同研究会
<シンポジウム「質的研究のための現象学とナラティヴ心理学」>
質的研究にかかわる研究者や臨床家のあいだでは、現象学もナラティヴ心理学も、一人称的観点からの語られる経験の記述を重視する方法として受け入れられてきた。現象学は、先入見を除いてありのままの経験に接近することを重視する。ナラティヴ心理学は、当事者による経験についての語りを内在的に理解しようとする。研究の焦点に違いはあるものの、「人々が経験していることの意味」の解明を目指している点では共通していると思われる。このシンポジウムでは、理論、臨床、事例研究など、それぞれが依拠する観点から現象学とナラティヴ心理学を論じ、質的研究における両者の交流を促進する機会としたい。日時:2019年7月27日(土),14時〜17時
場所:明治大学駿河台キャンパス,研究棟4階・第1会議室
(https://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html)
プログラム
司会:植田嘉好子(川崎医療福祉大学)
14:00-14:10 趣旨説明:田中彰吾(東海大学)
14:10-14:50 話題提供1 田中彰吾(東海大学)
「ナラティヴ・アイデンティティと現象学的研究」
14:50-15:30 話題提供2 渡辺恒夫(東邦大学)
「「コミュ障」の批判的ナラティヴ現象学」
15:30-15:50 休憩
15:50-16:30 話題提供3 セビリア・アントン(九州大学)
「自覚のための教育—ライフ・ストーリー面談とナラティヴ・セラピー面談の比較研究」
16:30-17:00 ディスカッション
指定討論者:森直久(札幌学院大学)
講演要旨
1)「ナラティヴ・アイデンティティと現象学的研究」田中彰吾(東海大学)
よく知られるように、ナラティヴの概念は認知心理学者のブルーナーが1980年代に提起したもので、「ナラティヴ様式」は科学的研究を支える「論理-科学的様式」には還元できないとされる。この主張は、人間行動の科学的法則を探る量的研究とは区別して、人々の発する語りにもとづく質的研究を促進するものになっていた。ここから各種のナラティヴ・アプローチが派生することになるが、この発表で着目したいのは「ナラティヴ・アイデンティティ」の概念である。哲学者のリクールは、人々がみずからの人生について物語る行為が、物語の主人公としての自己アイデンティティを構成する点に注目している。人生を語るナラティヴには、自分の生きてきた過去を振り返り、将来の生き方の可能性をさぐることで、時間的に一貫した自己を構成する作用がある。現象学的心理学のラングドリッジは、リクールの考えを発展させ、社会的文脈との関係で語られざるままにとどまっている自己を読み解く方法を「批判的ナラティヴ分析(Critical Narrative Analysis, CNA)」として提唱している。この報告では、ブルーナーとリクールの考えを再度整理したうえで、CNAを中心としてナラティヴ心理学と現象学が連携する質的研究のあり方について考察する。
2)「「コミュ障」の批判的ナラティヴ現象学」渡辺恒夫(東邦大学)
現象学とナラティヴ心理学は両立不可能と見なされることが多いが、リクールとラングドリッジの批判的ナラティヴ分析に基づいて考案された「批判的ナラティヴ現象学」では、現象学とナラティヴ分析が「地平融合」の過程で互いに収斂することを、「コミュ障」研究を通じて示す。このスラングは若い世代によって、「非社交的」「対人スキルに乏しい」を意味する自嘲語として広く用いられている。本研究(渡辺、2019)では社交上の困難を訴えてオンライン上の援助を求め、読者がアドヴァイスする4事例が検討された。ナラティヴ分析によって全テクストは「垂直的ナラティヴ」対「水平的ナラティヴ」に分類された。前者では問題の原因が当事者の意識外に求められるため専門家の介入を要する。原因を「資本主義的生産様式」や「脳の不調」に求めるマルクス主義的ナラティヴや医科学的ナラティヴが代表だ。水平的ナラティヴでは原因は地平(=視座)が違えば異なる相を見せる。読者とのやり取りの過程を通じて多くの「水平的ナラティヴ」に接することで自尊感情を回復し、重要な自己洞察に達する例に、現象学的な「地平融合」が認められる。
3)「自覚のための教育―ライフ・ストーリー面談とナラティヴ・セラピー面談の比較研究」 セビリア・アントン(九州大学)
森昭(1915-1976)は戦後の日本教育学会を主導した教育哲学者のひとりである。森はプラグマティズムと実存主義を調和させ、その上に人間科学(特に発達心理学)を加え、「教育人間学」のアプローチを確立した。そのアプローチは教育における「自覚」「覚醒」を強調したが、その方法は「ナラティヴ教育学」と言える。森は二つの異なるナラティヴ教育を要求した―全体的なナラティヴ・アイデンティティのための教育、および、より流動的・偶然的なアイデンティティのための教育である。本発表において、私は、以上の二つのナラティヴ教育に相当するナラティヴ面談を考察したい。第一は、Dan McAdamsの「ライフ・ストーリー面談」(2008)である。理論的に見て、これは森の発達的教育論に類似している。第二は、マイケル・ホワイトとデイヴィッド・エプストンのナラティヴ・セラピーである。この方法は、教育カウンセリングにも応用されており、森の後者のナラティヴ教育に近い。私はこれを、Critical Narrative Analysisに類似した形で質的研究の面談として使えるものと考えている。以上をふまえ、最後に、ナラティヴ教育の授業(大学院)で取得した、両面談の(準備段階の)データを比較し、この二つのナラティヴの具体的な相違点と類似点を検討したい。
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2019年7月1日月曜日
立正大学哲学会 (7/6 立正大学品川)
またしばらく放置していたら月が変わってしまいました。
今週土曜日に以下のイベントがあります。
立正大学哲学会・2019年度春秋大会
2019年7月6日(土) 13:30-18:20
立正大学品川キャンパス 9号館地下2階 9B23教室
16時から武内大先生の講演「星の魔術-現象学的元型論の展開」があり、田中はそこで特定質問者として登壇します。
現象学とユング心理学の関係は、大学院生のころにずいぶん考えたのですが、その後ずっと放置していました。今になってまた考え直すことになるとは…。諸般の事情で準備の時間があまり取れないので、当日ご講演を伺いながら元型について久々に考えたいと思います。知覚的現実と想像的現実の関係が焦点になりそうな予感がしますが、どうなることやら。
た
今週土曜日に以下のイベントがあります。
立正大学哲学会・2019年度春秋大会
2019年7月6日(土) 13:30-18:20
立正大学品川キャンパス 9号館地下2階 9B23教室
16時から武内大先生の講演「星の魔術-現象学的元型論の展開」があり、田中はそこで特定質問者として登壇します。
現象学とユング心理学の関係は、大学院生のころにずいぶん考えたのですが、その後ずっと放置していました。今になってまた考え直すことになるとは…。諸般の事情で準備の時間があまり取れないので、当日ご講演を伺いながら元型について久々に考えたいと思います。知覚的現実と想像的現実の関係が焦点になりそうな予感がしますが、どうなることやら。
た
2019年6月3日月曜日
取材3件
昨年末から年度末にかけて、取材を受ける機会が複数ありました。普段はインタビューする側として研究用のデータを収集しているのですが、インタビューされる側に回ってみるとそれはそれで新鮮ですね。いろいろと質問してくれる相手がいることで、自分の頭の中で十分に整理できていなかったことが、うまく言葉になって口を突いて出てくる場面が何度かありました。こういうのは明らかに、コミュニケーションがもたらす「創発」の一種なんだと思います。
取材内容が記事になって公表されているので、メモを兼ねて以下に記録しておきます。
1a) TechTech 〜テクテク〜 No.35
私の母校、東工大の広報誌です。「博士たちのキャリアデザイン論」という大学院進学希望者向けコーナーに登場しています。大学院入学当時から今までの研究履歴をものすご〜く手際よくまとめていただきました。自分ではこんなに簡潔にはまとめられないです(笑
https://www.titech.ac.jp/about/overview/pdf/techtech35.pdf
1b) 東工大ホームページ「研究者への第一歩」
なお、上の記事を拡充した内容のものが東工大のホームページにも収録されています。
「身体にもとづいた人間科学を追い求めて」(田中彰吾)
https://www.titech.ac.jp/graduate_school/first_step/career_design_tanaka.html
2) 人材応援 vol.8
先端科学と社会をつなぐ企業「リバネス(leave a nest)」の機関紙「人材応援」です。組織や人材開発に関係する研究を進めている研究者としてご紹介いただきました。同社の江川伊織さんからインタビューを受けたのですが、的確な質問をしてくれるので私もいろいろ気づきがあって楽しかったです。
「人と組織の探求者 23 :言葉を使わずに伝わる「何か」を身体から解き明かす」(田中彰吾)
https://lne.st/business/publishing/jinzai/
3) RESEARCH@TOKAI+ (特別号)
東海大の研究関連のパンフレットです。所属先の案件なのでいちばん気楽に受けられるはずなのに、インタビューとしてはこれがいちばん難しかったかも。松前賞を受賞された他の先生方が医学系なので、そうした人たちと並んだときに何を回答すると分かりやすく自分の研究の重要性を伝えられるのだろう…と考えてしまいました。
https://www.u-tokai.ac.jp/research/research_activities/reserch_at_tokai/
というわけで、これからも取材されるに値する研究を続けられれば、と思っています。それが目標ではないにせよ、「話を聞きたい」と思ってもらえるような魅力のある研究をしたいものです。
た
取材内容が記事になって公表されているので、メモを兼ねて以下に記録しておきます。
1a) TechTech 〜テクテク〜 No.35
私の母校、東工大の広報誌です。「博士たちのキャリアデザイン論」という大学院進学希望者向けコーナーに登場しています。大学院入学当時から今までの研究履歴をものすご〜く手際よくまとめていただきました。自分ではこんなに簡潔にはまとめられないです(笑
https://www.titech.ac.jp/about/overview/pdf/techtech35.pdf
1b) 東工大ホームページ「研究者への第一歩」
なお、上の記事を拡充した内容のものが東工大のホームページにも収録されています。
「身体にもとづいた人間科学を追い求めて」(田中彰吾)
https://www.titech.ac.jp/graduate_school/first_step/career_design_tanaka.html
2) 人材応援 vol.8
先端科学と社会をつなぐ企業「リバネス(leave a nest)」の機関紙「人材応援」です。組織や人材開発に関係する研究を進めている研究者としてご紹介いただきました。同社の江川伊織さんからインタビューを受けたのですが、的確な質問をしてくれるので私もいろいろ気づきがあって楽しかったです。
「人と組織の探求者 23 :言葉を使わずに伝わる「何か」を身体から解き明かす」(田中彰吾)
https://lne.st/business/publishing/jinzai/
3) RESEARCH@TOKAI+ (特別号)
東海大の研究関連のパンフレットです。所属先の案件なのでいちばん気楽に受けられるはずなのに、インタビューとしてはこれがいちばん難しかったかも。松前賞を受賞された他の先生方が医学系なので、そうした人たちと並んだときに何を回答すると分かりやすく自分の研究の重要性を伝えられるのだろう…と考えてしまいました。
https://www.u-tokai.ac.jp/research/research_activities/reserch_at_tokai/
というわけで、これからも取材されるに値する研究を続けられれば、と思っています。それが目標ではないにせよ、「話を聞きたい」と思ってもらえるような魅力のある研究をしたいものです。
た
2019年5月24日金曜日
もうすぐ発売:Thinking about Oneself
更新できないうちにまた1ヶ月たってしまいました。GWは依頼原稿と研究費の申請書を書いているうちにあっという間に過ぎてしまい、気づけば元号も変わっていました…
それで、今回の更新は新著の案内です。友人のルカ・タテオ氏編集による以下の書籍がもうすぐ発売になります。先ほどチェックしてみたら、すでに書影つきでアマゾンのページができていました。
タイトルから伝わる通り、リフレクション(反省)がテーマの一冊です。教育や看護のような対人支援領域ではリフレクションを実践に取り入れることが近年盛んになっているようですが、そういう動きとも一脈通じている書物です。というのも、アマゾンの内容紹介にもありますが、行為と対立する作用として反省をとらえるのではなく、具体的な行為のなかに反省を置き直し、生活世界や心的機能のなかで反省が持つ意義を多角的にとらえたものだからです。
最初に原稿を送ったのが2年ぐらい前で、査読&改訂が終わったのも1年以上前でしたから、ずいぶん時間がかかりました。こういう共著ものって、結局早く原稿を出しても他に遅れる人がいるから、たいてい当初の出版予定より後にずれ込むのですよね…。まあ、でも、ちゃんと出版されるところまで話が進んだので安堵しています。担当箇所はこんな感じです。
Shogo Tanaka
Chapter 9: Bodily origin of self-reflection and its socially extended aspects
9.1 Introduction
9.2 Body-as-object for oneself
9.3 Body-as-object for others
9.4 Empathy as a socially extended self-reflection
9.5 A missing part of “me”: Self-reflection and social anxiety
9.6 The place of beginning
9.7 Conclusion
反省は基本的には「私が私の経験を振り返る」作用ですが、自己自身を客体化する二重感覚のような身体的経験(自分の手で自分の体に触れる経験)のなかにその萌芽を含んでいます。ただ、以前著作のなかでも論じたように(『生きられた〈私〉をもとめて』第3章)、そのような経験は他者によって客体化されることで初めて動機付けられます。なので、反省するという作用は、「私が私を客体化する」以前に「他者が私を客体化する」という経験にさかのぼって基礎づける必要があります。…といったことを考えていくと、たとえば5節で論じたような社交不安のような経験とも発生的には同じ根っこを持っていることがわかります。反省、自己意識、間主観性、共感、社会不安、をすべてまとめて考察した稀有な(?)論考になっています。ご関心のある方はお問い合わせください。
た
2019年4月24日水曜日
プロジェクション科学における身体の役割 (田中 2019)
こんにちは。前回の投稿からあんまり時間が経っていないので「やったー」と早めの更新を喜んだのですがすでに2週間も過ぎていたのですね…
今回は新しい論文が出ました、という報告です。『認知科学』のVol.26, No.1がプロジェクション科学の特集を組んでいるのですが、その一部として掲載していただきました。2017年12月に認知科学会の冬のシンポジウムがあり、そのときの主題がプロジェクション科学だったのですが、そのさいに話したことを論文化したものです。
内容は、ラバーハンド錯覚の意味を考え直し、フルボディ錯覚の再解釈を試みています。フルボディ錯覚は方法が二つあって、その二つが研究者のあいだでもやや混同されて論じられることがあるのですが、その違いについても触れてあります。また、そもそもフルボディ錯覚って身体の外部に自己が「乗り移る」ような感じとは違いますよ、という点についてもちゃんと考えました。
学会のジャーナルなのでそのうちJ-STAGEでも公開されると思いますが、昨日論文のPDFファイルをいただいたので一足お先にここで公開しておきます。
田中彰吾 (2019).「プロジェクション科学における身体の役割-身体錯覚を再考する」『認知科学』26(1), 140-151.
ご笑覧くださいませ。
た
今回は新しい論文が出ました、という報告です。『認知科学』のVol.26, No.1がプロジェクション科学の特集を組んでいるのですが、その一部として掲載していただきました。2017年12月に認知科学会の冬のシンポジウムがあり、そのときの主題がプロジェクション科学だったのですが、そのさいに話したことを論文化したものです。
内容は、ラバーハンド錯覚の意味を考え直し、フルボディ錯覚の再解釈を試みています。フルボディ錯覚は方法が二つあって、その二つが研究者のあいだでもやや混同されて論じられることがあるのですが、その違いについても触れてあります。また、そもそもフルボディ錯覚って身体の外部に自己が「乗り移る」ような感じとは違いますよ、という点についてもちゃんと考えました。
学会のジャーナルなのでそのうちJ-STAGEでも公開されると思いますが、昨日論文のPDFファイルをいただいたので一足お先にここで公開しておきます。
田中彰吾 (2019).「プロジェクション科学における身体の役割-身体錯覚を再考する」『認知科学』26(1), 140-151.
ご笑覧くださいませ。
た
2019年4月10日水曜日
お知らせ2件
前回の投稿から再度あっという間に1月たってしまいました。
この間、デンマーク出張&国際シンポジウム開催、レビュー論文の修正、出版社と打合せ、インゴルドのシンポ、大学の年度末業務、英文ジャーナルの査読、フックス読書会、大学の年度始め業務、単著の執筆、英文共著論文の修正、などなどをこなしていました。こうやって忙しく立ち回っていると、年度末や年度始めであっても、どこか気持ちのけじめがつかないので困ったものです。
ところで、このブログ上で告知したいことが2件あります。
その1。昨年度の認知神経リハビリテーション学会で講演させていただいたのを機に、その方面の関係者の方々とより議論を深める機会を折に触れて持つようになりました。その延長で、来月から「身体性リハビリテーション研究会」という名称で新たな研究会を不定期に開催します。臨床現場での身体性に深入りする場面が多くなりそうなので当面クローズドな集まりになりますが、リハビリと現象学、身体論に関心のある方はお問合せください。
その2。これまでの執筆者と査読者としての経歴を買われて…なのかどうかわかりませんが、哲学的心理学と理論心理学の国際ジャーナル『Theory & Psychology』のEditorial Boardとして加わることになりました。心の哲学や心理学の基礎論に関心のある方は、ぜひご寄稿ください。小さいですがインパクトファクターもちゃんとあります。日本ではこの分野の市場がいまだに小さいのですが、国際的にはそこそこの規模はあります。International Society for Theoretical Psychologyに参加されるとよくわかりますよ。
では、また。
た
この間、デンマーク出張&国際シンポジウム開催、レビュー論文の修正、出版社と打合せ、インゴルドのシンポ、大学の年度末業務、英文ジャーナルの査読、フックス読書会、大学の年度始め業務、単著の執筆、英文共著論文の修正、などなどをこなしていました。こうやって忙しく立ち回っていると、年度末や年度始めであっても、どこか気持ちのけじめがつかないので困ったものです。
ところで、このブログ上で告知したいことが2件あります。
その1。昨年度の認知神経リハビリテーション学会で講演させていただいたのを機に、その方面の関係者の方々とより議論を深める機会を折に触れて持つようになりました。その延長で、来月から「身体性リハビリテーション研究会」という名称で新たな研究会を不定期に開催します。臨床現場での身体性に深入りする場面が多くなりそうなので当面クローズドな集まりになりますが、リハビリと現象学、身体論に関心のある方はお問合せください。
その2。これまでの執筆者と査読者としての経歴を買われて…なのかどうかわかりませんが、哲学的心理学と理論心理学の国際ジャーナル『Theory & Psychology』のEditorial Boardとして加わることになりました。心の哲学や心理学の基礎論に関心のある方は、ぜひご寄稿ください。小さいですがインパクトファクターもちゃんとあります。日本ではこの分野の市場がいまだに小さいのですが、国際的にはそこそこの規模はあります。International Society for Theoretical Psychologyに参加されるとよくわかりますよ。
では、また。
た
2019年3月10日日曜日
『味わいの現象学』
面白そうな本が出ましたね。
村田純一『味わいの現象学-知覚経験のマルチモダリティ』(ぷねうま舎)2019年
いちばん面白そうでかつ全体にとっても勘所になっていそうな箇所(6章1節「触覚と身体」)はノートを取りながら読んだので要約をアップしておきました。研究アーカイブのページからどうぞ。
触覚を近感覚に分類し、視覚や聴覚から区別するというのが心理学での常識的な見方です。が、あらゆる感覚にはそれを伝える媒質が必要だとするアリストテレスの考え方からすると、皮膚が接触して触覚が生じるという見方は成り立たない、触覚を伝える媒質は身体(肉)である。6章はこんな議論から始まります。
詳しくは本文に譲りますが、6章のこの個所は、ギブソン、フッサール、メルロ=ポンティの知覚論と身体論を結ぶ要の議論が展開されていてとても面白いです。一方で、触覚にも視覚や聴覚と同じような「射映」の構造があるとしながら、他方で、触覚は自己との結びつきや世界内存在を支える仕掛けになっているという本書の主張には、見るべきものが大いにあると思います。
個人的には身体図式が知覚において果たしている役割について、納得するところが多々ありました。ご恵贈いただいた村田純一先生にこの場を借りて感謝いたします。
た
村田純一『味わいの現象学-知覚経験のマルチモダリティ』(ぷねうま舎)2019年
いちばん面白そうでかつ全体にとっても勘所になっていそうな箇所(6章1節「触覚と身体」)はノートを取りながら読んだので要約をアップしておきました。研究アーカイブのページからどうぞ。
触覚を近感覚に分類し、視覚や聴覚から区別するというのが心理学での常識的な見方です。が、あらゆる感覚にはそれを伝える媒質が必要だとするアリストテレスの考え方からすると、皮膚が接触して触覚が生じるという見方は成り立たない、触覚を伝える媒質は身体(肉)である。6章はこんな議論から始まります。
詳しくは本文に譲りますが、6章のこの個所は、ギブソン、フッサール、メルロ=ポンティの知覚論と身体論を結ぶ要の議論が展開されていてとても面白いです。一方で、触覚にも視覚や聴覚と同じような「射映」の構造があるとしながら、他方で、触覚は自己との結びつきや世界内存在を支える仕掛けになっているという本書の主張には、見るべきものが大いにあると思います。
個人的には身体図式が知覚において果たしている役割について、納得するところが多々ありました。ご恵贈いただいた村田純一先生にこの場を借りて感謝いたします。
た
2019年3月9日土曜日
インゴルドと「あいだ」のシンポジウム(3/24 立教池袋)
こんにちは。
約2週間後ですが、インゴルドと「あいだ」のシンポジウムが立教大学で予定されています。
3/24 14:00〜17:00
インゴルドと「あいだ」のシンポジウム
http://kao-shintai.jp/news/files/20190324_Sympo.pdf
立教大学池袋キャンパス1号館1104教室
人類学者ティム・インゴルドさんの翻訳プロジェクトが現在進行中で、今回はそれに関係するシンポジウムです。固定された分野を軽やかに飛び越えるインゴルドさんの仕事にちなんで、人類学、哲学、心理学、教育学の分野からパネリストがそろう貴重な議論の機会になります。
田中は14:50〜15:30のセッションで指定討論のような形での参加になると思います。何を話すかまだ何も考えていないのですが、「あいだ」については言いたいことはいろいろあるので、準備はそんなに困らないかも、と思っています。
年度末の慌ただしいタイミングですが、関心のある方はぜひお越しください。
た
2019年3月8日金曜日
単著の進捗
お久しぶりです。前回の投稿から早くも1ヶ月が過ぎてしまいました。
この間何をしていたかというと、いろいろと迫ってくる大学の事務仕事の合間をぬって単著の執筆にもっぱら取り組んでいました。現在、2020年の4月刊行を目指して動いている企画があるのですが、その1章と2章、60ページ分くらいの執筆が終わったところです。さらにその合間に短い原稿をいくつか書いたりシンポジウムでの講演をこなしたりしていたので、まあ私にしては順調に進んでいるほうです。
内容とは関係ないですが、この間に身についたスキルがあります。私はもともと研究室で事務仕事をこなしながら原稿を書くということがまったくできない人間でしたが(自宅の書斎でしか執筆できませんでした)、できるようになったのです。
ひとつ単純なコツがあることに気づきました。研究室にいるさいに電話がかかってきたり人が訪ねてきたりすると、そこで自分の思考がいちど途切れるので、結果的に原稿が進まなくなります。自宅にいても電話はかかってきますが、書斎では自分の身体がすぐに執筆モードに戻れるので原稿が書けていたのです。研究室は電話に加えて人が来るので、自分の注意がどうしても対人関係に大きく割かれてしまって、執筆モードに戻るのに時間がかかります。しかも、身体がもともと「人の持ってくる案件に対応すること」に向かって潜在的に構えているので、そもそも執筆モードに入りづらい。
それで、授業期間が終わったのを境にそういう構えそのものを意識的にやめてみることにしました。人が来ようが、電話がかかってこようが、デフォルトの身体モードは執筆する状態に保っておく。自宅の書斎にいるときと同じモードで身体を使うのです(脳のモードと違って身体のモードは意識的なコントロールがききやすいようです)。大学の事務仕事を「研究と執筆の合間に対応すべきこと」としてモードを切り分けてしまえばよいのでした。図々しくなるってこういうことなんだなぁ、とも思いましたが…
というわけで、この1ヶ月ぐらい大学にいるときの身体のモードを切り替える訓練をしながら、研究室でしつこく執筆していました。昨年の4月に管理職になった頃は、大学にいる時間が長くなって研究はできなくなるなぁ、とよく思ったのですが、それから1年近く自分なりに工夫を重ねてなんとか両立する様なスキルを身につけ始めました。よかったよかった(といってもワークライフ・バランスが崩れて家族に迷惑をかけているのですが…)。
というわけで、来年の今頃には刊行直前でゲラの校正が終わるところまで仕上げていたいなぁと思っています。乞うご期待。
た
2019年2月7日木曜日
自己をめぐる冒険 (2/20-21 東大本郷)
例によってイベント告知で恐縮ですが、2/20-21に下記シンポジウムがあります。
2019年2月20日(水) 12:30〜17:00
2019年2月21日(木) 9:00〜17:00
東京大学本郷キャンパス,武田先端知ビル・武田ホール
主催は、北海道大学で採択されているJSPSのプログラム(先導的人文学・社会科学研究推進事業)「アイデンティティの内的多元性:哲学と経験科学の協同による実証研究の展開」です。
上記リンクをたどってみてください。哲学×科学というプログラムの趣旨がよく伝わってくるシンポジウムで、話がかみ合えば相当面白いイベントになる気がします。上記ホームページのプロジェクト概要には「複数の実証研究の展開を通して、哲学と科学が真の意味で融合した、新たな研究のロールモデルを提供することを目指す」とあるのですが、本当にここまで展開できるとすごいことになりそうですよね。
先日、岡崎で開かれたCoRN 2019では、「意識」をめぐって同様に「哲学×科学」な議論が展開されていました。そちらもかなり面白かったのではありますが、意識という概念のとらえどころのなさ、概念化の幅の広さに、具体的な成果を出すさいに用いるべき方法の難しさを感じました。
次回は「自己」なので、身体性のように目に見える次元で各種の実験に落とし込む研究がいろいろと可能なはずです。そういう意味で未来の研究が垣間見える面白いイベントになるかも、と期待しています。田中は「自己はどこまで脱身体化できるか?」というやや挑戦的なタイトルで21日朝にお話します。ぜひ会場に足をお運びくださいませ。
た
2019年1月17日木曜日
松前重義学術賞をいただきました
2018年度の松前重義学術賞をいただきました。松前重義賞は、東海大学の創立者松前重義氏を記念した賞で、「学術、文化、スポーツの各部門で、建学の精神に基づく顕著な成績を収めた学園の学生、生徒、児童、園児、教職員および卒業生を顕彰するもの」(大学HPより)だそうです。なかでも学術賞はもっとも権威ある賞とのことで、ありがたく思うと同時に身の引き締まる思いです。
今回は所属先の所長である成川忠之先生からご推薦をいただいたのですが、その時点では受賞はないだろうと思っていました。というのも、歴代受賞者のリストは大半が医学系や理工系のハイ・インパクトな研究をしている先生方で占められていて、人文社会系はほとんど見当たらないからです(歴史学の三佐川亮宏先生の名前は見つけられますが、ドイツ史研究で日本学士院賞を受賞された雲上人ですからね…)。
私も東海大学に着任してすでに10年以上で、振り返るといろいろな仕事をしてきましたが、研究は自分がいちばん熱心に取り組んできた活動なので、それがこのような形で表彰されたことは素直に嬉しいです。この場を借りて、大学の関係者や、学内外のさまざまな場面で研究を支援していただいている皆さまに深くお礼申し上げます。つねづね、研究は一人でするものではなくていろいろな方々とのコラボレーションを通じて初めて形になるものだと思っていますので、ここでのお礼はたんに形式的なもの以上の強い意味を込めています。
学術賞の対象となった研究課題は、「身体性人間科学の構想と展開」です。これは、進行中の科研費のプロジェクト「Embodied Human Scienceの構想と展開」をそのまま日本語にしたものですが、簡単にいうと従来の「身体性認知科学」の立場を人間科学にまで拡大するところに主眼があります。
身体性認知(embodied cognition)は1990年代に確立された心の見方で、心を、環境から切り離された「内界」、身体の奥に隠れた「内面」として見るのではなく、身体性・行為・スキルに立脚してとらえ直そうとする立場です。
この立場を推し進めていくと、そもそも心と身体を分離するのではなく、心・身体・環境を連続的にとらえる、より統合的な人間観が必要になります。なので「心理学」「認知科学」という名称ではなく、「身体性人間科学」というコンセプトで進めているのが近年の私の研究です。この観点から見えてくる「自己(self)」については、昨年『生きられた〈私〉をもとめて』(北大路書房)にまとめました。また、他者理解については「Theory & Psychology」誌に論文を複数発表しています("Intercorporeality as a theory of social cognition" "Intercorporeality and aida"など)。今回の受章はこれら一連の業績に対するものです。
いずれにしても、私の研究は心の見方を変えること、そこから始まる新しい人間観を立ち上げることにかかわります。東海大学は近年、人々のQOL(quolity of life)の向上に資する大学づくりを目標に掲げています。今後の私の研究もそれに多少とも貢献できるものになればと思います。
ところで、授賞式(昨日ありました)がすごくフォーマルなものだったので驚きました。場所は霞ヶ関ビルの最上階のフロアにある大学の校友会館で、学長や副学長はじめ、学校法人の理事のようなお偉方がお揃いでした。松前重義賞は、学術研究だけでなく、芸術、スポーツ、教育など学園のすべての活動を対象にしたものということで、それぞれの方面で優れた仕事をされている方々が一堂に会していました。もちろん先の箱根駅伝でチームを優勝に導いた両角速監督も。そういう方々が集まる場所だけあって、授賞式後の懇親会も華やいだ雰囲気と重厚感がともに感じられる味わい深いものでした。
懇親会には大学行政の重鎮がたくさんおられたので、「人間科学の研究所を作らせてください」と各方面にお願いしてきました。さて、実現する日は来るのでしょうか…
た
懇親会には大学行政の重鎮がたくさんおられたので、「人間科学の研究所を作らせてください」と各方面にお願いしてきました。さて、実現する日は来るのでしょうか…
た
2019年1月7日月曜日
CoRN 2019 (1/23-25 岡崎)
今月の下旬に、愛知県の岡崎市で意識研究の国際会議があります。
2019年1月23〜25日,岡崎コンファレンスセンター
CoRN 2019
Consciousness Research Network
意識研究の分野ではASSC (Association for the Scientific Study of Consciousness) が国際会議としてはよく知られているのですが、CoRNはそのアジア版ということらしいです。ASSCは現象学系の研究者が少ないので今まで一度も参加したことがなかったのですが、今回は、生理学研究所の吉田正俊氏のお声がけで田中もひとまずCoRNに参加することになりました。北澤茂先生の基調講演はじめ、いろいろ興味深い話が聞けそうなので楽しみにしています。
…ではあるのですが、お題がなかなか大変そうで、どうしたものやら。二日目に設定されている「Debate session #1」に登壇して話題提供と討論をするよう依頼されています。テーマが「How to collaborate philosophy and science for consciousness research?」(意識研究のための哲学と科学の協力のしかた)なので、なにか全般的に無難な話はできるのだろうと思いますが、それでは「ディベート」と呼べるようなものにはならないんでしょうし。
あと、依頼にはもうひとつ条件があって、Debate session #1は、その前の時間帯にあるTutorial session #1でのレクチャー内容を踏まえたものにしてくださいとのこと。事前にチュートリアルで参加者で議論の前提を共有して、それを踏まえて議論しましょうという趣旨だそうです。そちらのタイトルは「Introduction to philosophy of mind and the hard problem of consciousness」(心の哲学と意識のハードプロブレムについてのイントロダクション)です。
哲学と科学が協力して意識研究を目指す、という設定には共感するところ大なのですが、そもそもハードプロブレムの問題設定に乗れないところのある私としては、何に焦点を当てて議論すると参加者にとって得るもののある場になるのか、ちょっと考えあぐねています。まぁ、当日までにいいアイデアが浮かんでくるよう、ポジティブな構えで待つほうがよさそうですね…
た
2019年1月23〜25日,岡崎コンファレンスセンター
CoRN 2019
Consciousness Research Network
意識研究の分野ではASSC (Association for the Scientific Study of Consciousness) が国際会議としてはよく知られているのですが、CoRNはそのアジア版ということらしいです。ASSCは現象学系の研究者が少ないので今まで一度も参加したことがなかったのですが、今回は、生理学研究所の吉田正俊氏のお声がけで田中もひとまずCoRNに参加することになりました。北澤茂先生の基調講演はじめ、いろいろ興味深い話が聞けそうなので楽しみにしています。
…ではあるのですが、お題がなかなか大変そうで、どうしたものやら。二日目に設定されている「Debate session #1」に登壇して話題提供と討論をするよう依頼されています。テーマが「How to collaborate philosophy and science for consciousness research?」(意識研究のための哲学と科学の協力のしかた)なので、なにか全般的に無難な話はできるのだろうと思いますが、それでは「ディベート」と呼べるようなものにはならないんでしょうし。
あと、依頼にはもうひとつ条件があって、Debate session #1は、その前の時間帯にあるTutorial session #1でのレクチャー内容を踏まえたものにしてくださいとのこと。事前にチュートリアルで参加者で議論の前提を共有して、それを踏まえて議論しましょうという趣旨だそうです。そちらのタイトルは「Introduction to philosophy of mind and the hard problem of consciousness」(心の哲学と意識のハードプロブレムについてのイントロダクション)です。
哲学と科学が協力して意識研究を目指す、という設定には共感するところ大なのですが、そもそもハードプロブレムの問題設定に乗れないところのある私としては、何に焦点を当てて議論すると参加者にとって得るもののある場になるのか、ちょっと考えあぐねています。まぁ、当日までにいいアイデアが浮かんでくるよう、ポジティブな構えで待つほうがよさそうですね…
た
2019年1月2日水曜日
質的心理学辞典
昨年紹介を怠っていた仕事がありました。これです。
『質的心理学辞典』
能智 正博(編集代表)
香川秀太・川島大輔・サトウタツヤ・柴山真琴・鈴木聡志・藤江康彦(編)
新曜社,2018年11月30日発売
私も以下の8項目を執筆しました。
・解釈学
・解釈学的循環
・現象学
・実在論
・実存
・心身二元論
・身体化
・超越論的現象学
解釈学や解釈学的循環の項目は私よりもふさわしい執筆者がいるのではないかとも想像しましたが、考えてみると新曜社から刊行させていただいた翻訳書ラングドリッジ『現象学的心理学への招待』はリクールの解釈学に大きく影響を受けて展開している新たな現象学的心理学の方法を紹介しているものだったので、いちおう担当範囲内だったのかもしれません。
この辞典は、現象学や解釈学だけでなく、心理学の哲学・原理・歴史・方法といったところにきちんと目配りが効いているので、心理学の「そもそも論」に関心のある人は手元に置いておくと便利です。哲学・人類学・社会学・精神医学・障害学・看護学などの関連領域の項目も多々あって参考になります。
ところでこの辞典、全1098項目が収録されています。辞典としては決して規模の大きなものではないのですが、出版までのスピードの速さに驚きました。執筆依頼をいただいたのが2017年7月で、最初の原稿締め切りが10月、そして2018年11月末の質的心理学会の大会では製本された初版がブースに並んでいる、という流れでした。辞典ものは執筆者の数が多くなるので、締め切りを守れない執筆者が自然と増え、刊行が当初予定よりずれ込むことが多いのですが、刊行までほぼ当初予定通りでした。すごいですね。私も別件である書籍の編集にたずさわっているので、見習いたいものです。
た
2周年
新年おめでとうございます。
このブログも開設して2年が過ぎました。昨年はもっぱら自分が関係する学術イベントと書籍の告知用にしか使えていなかったので今年は何とかしたいなと思っています…が、ブログに使える時間が増える見込みもないので、大きく変えられないだろうと思います。なので、告知をするときに少しは中身のあるコメントを加えることで、多少改善できればいいかなと思っています。
皆さまにとって2019年が幸せな一年でありますように。幸せついでに、このブログにもときどき立ち寄ってもらえると幸甚です。
た
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