2019年12月9日月曜日

ポスト身体性認知

先日、青山学院の鈴木宏昭先生の研究会でお話する機会がありました。

プロジェクション・サイエンスを推進している研究会だったのですが、そこで初めて「ポスト身体性認知」というテーマで話してきました。現状の身体性認知科学の研究は、一見すると華やかに流行しているように見えますが、アプローチが一面的なのでいずれ行き詰まるのではないかと思っています(思考や言語処理などの高次認知が身体性や身体経験に依存していることを示す研究が大半を占めているという意味です。ダイナミカルシステムやアフォーダンスのような方法論そのものが行き詰まっているという意味ではありません)。
 
それで、プロジェクション・サイエンスの話を認知科学会のシンポジウムで聞いたときからずっと、現状の身体性認知研究を打ち破る方向性と、プロジェクションという概念を関連づけることができるのではないかと漠然と感じていたのですが、そのアイデアについて初めてまとまった内容の話をしてきました。じつはプロジェクションという概念をメルロ゠ポンティも使っていて、この点を注意深く考えると現状の身体性認知で取られている主要なアプローチを超えていく方向性を示せそうなのです。
 
詳細はいずれ、プロジェクションに関連する書籍のなかに1章として収められることになると思います。1月末が原稿の締め切りらしいのですが、間に合うことやら…