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2022年9月7日水曜日

学会イベント:心理学会シンポジウム② (9/8-10/11)

連投ですいません。引き続きイベント案内です。こちらもオンデマンドで公開期間が長いので1ヶ月以上にわたっていつでもご参加いただけます。

日本心理学会第86回大会 (9/8-11, 延長公開9/12-10/11)

公募シンポジウム「SS-002 現象学から始まる心理学史と心の哲学史

 企画代表:渡辺恒夫(東邦大学)

 話題提供1:村田純一(東京大学)

 話題提供2:長滝祥司(中京大学)

 話題提供3:田中彰吾(東海大学)

 指定討論:境 敦史(明星大学)


こちらは年末ぐらいに講談社選書メチエの一冊として発売予定の『心の哲学史』の執筆メンバーによる企画です。渡辺先生と村田先生が編集の一冊で、フッサール現象学・ブレンターノ・ゲシュタルト心理学の関係まで遡って、オルタナティブな心理学の歴史を探るものになっています。この本、内容がかなり充実した一冊ですし、心理学の歴史と理論に関心のある人々にとっては面白く読んでいただけるものになると思います。

で、このシンポジウムもすでに録画した動画を大会サイトにアップしてあります。時間の都合で指定討論にお答えする時間が十分になかったので、大会期間中に書き込む予定です。最後までご覧いただくと、実験であれ質的研究であれ、現象学から出発すると同じ方向性の心理学研究に収斂する未来が垣間見えるのではないかと思います。皆さまもぜひ議論にご参加いただければ。

2021年12月28日火曜日

ソーシャル・コンストラクショニズムと対人支援の心理学

1件告知です。

能智正博先生と大橋靖史先生の編集による書籍『ソーシャル・コンストラクショニズムと対人支援の心理学』が新曜社からもうすぐ発売されます。編集を担当した大谷さんが送ってくれた見本の奥付には2021年12月31日の発行日が記されています。大晦日!の発行です。発行日が大晦日に設定されることもあるんですね、珍しい。

ちなみに、この本もコロナ禍でかなり編集に時間がかかった1冊になります。もともとは2018年3月に『ソーシャル・コンストラクショニズム』で知られるヴィヴィアン・バー氏が来日した際のシンポジウムから始まって企画されたものですが、書籍の企画と刊行に三年半以上かかっています。ただ、時間をかけただけのことはあって、執筆陣はシンポジウムのメンバーから大幅に増員されていますし、内容も幅広く充実したものになっています。

田中も、シンポジウム当日の議論を大幅に増補して以下の原稿を寄稿しました。

第2章「現象学的心理学の立場から-ソーシャル・コンストラクショニズムとの対話と直接経験を超える心理学」

今回初めて「直接経験を超える心理学」という言葉を使いました。現象学的心理学はもともと「生きられた経験」を捉えることを得意としているのですが、この種の「直接経験」にこだわるのはいいとしても、そのこだわりだけが強すぎると、目の前で起こっていないことをトータルに想像することで経験の構造を見抜く力が弱くなってしまいます。この点を補完する上で役立つのがソーシャル・コンストラクショニズムの発想である、という趣旨の原稿です。現象学もソーシャル・コンストラクショニズムも、知覚される世界が客観的に実在するという発想を拒否するところに共通点はありますから、両者の間で対話は十分に可能なはずです。その対話に成功しているかどうかは、読者の判断に委ねます。

…というわけで、ぜひ本書を手に取っていただければ幸いです。

2018年3月7日水曜日

イベント案内(3/21@本郷)

近頃イベント案内ばかりになってしまっていますが…こりずに今日もご案内します(笑

国際シンポジウム
社会構築主義の視点と臨床の現場
--Vivien Burr教授をお招きして--

2018年3月21日(木) 13:00-17:15
東京大学本郷キャンパス 福武ホール
 

詳しい案内は下記ページで見られます。

以下から事前申し込みが必要とのことです。
 
田中も話します。「現象学的心理学の立場から」というお題をいただいています。自分でオーガナイズする別件の国際シンポジウム(Body Schema and Body Image)の3日前なのでなかなか準備が大変そうなのですが、社会構築主義と現象学的心理学の接点と違いについて考えるいい機会になりそうです。

ちなみに、バー先生の仕事って、大学院生の頃に訳本(上の写真にある『Social Constructionism』の初版の訳本です)で接して以来です。まさかあれから20年もたってご本人に仕事でお会いできるチャンスがめぐってこようとは。当時の読書メモとかどこかに残ってないかな… 
 
 


2017年7月14日金曜日

国際理論心理学会での企画

来月8月下旬に開催される国際理論心理学会(1STP 2017)で、下記2件のシンポジウムを開催します。大会は1日のみの参加も可能ですから、ぜひ足をお運びください。会場は、立教大学池袋キャンパスです。詳しい大会案内ページは以下です。

[The 17th Biennial Conference of The International Society for Theoretical Psychology]

<1>
8/24 11:00-12:30  Room A1202
[Symposium 26]
  Quest for new methods in phenomenological psychology
[Organizer]
  Shogo Tanaka (Tokai University)
[Presenters]
  Darren Langdridge (The Open University)
  Tsuneo Watanabe (Toho University)
  Shogo Tanaka (Tokai University)
[Discussant]
   Masayoshi Morioka (Ritsumeikan University)

この企画は、現象学的心理学の新しい方法を考えるシンポジウムです。邦訳が刊行されている『現象学的心理学への招待』の著者、ラングドリッジさんをスピーカーに招いて議論します。インタビュー、当事者の記述、実験の持つ可能性を考察します。
 
<2> 
8/25 11:00-12:30  Room A1203
[Symposium 34]
  Focusing on the narrative self in human sciences
[Organizer]
  Kayoko Ueda (Kawasaki University of Medical Welfare)
[Presenters]
  Kayoko Ueda (Kawasaki University of Medical Welfare)
  Masahiro Nochi (The University of Tokyo)
  Shogo Tanaka (Tokai University)
[Discussant]
  Ken Nishi (Tokyo Medical University)

こちらの企画は、2016年7月末に明治大学で開催した「現象学と人間科学」のワークショップの続編です。昨年議論したときに、ナラティヴ・アプローチの問題点が浮上してきたので、今回は「ナラティヴ・セルフ」を主題にして人間科学と質的研究の基礎を再考します。こちらは植田先生にオーガナイズをお願いしました。

ちなみに田中は上記2件以外にも、シンポジウム1件、ワークショップ1件、という感じで合計4回登壇します。果たして大会終了まで私の体は倒れないでもつんでしょうか(笑


 

2017年5月16日火曜日

アーカイブの資料追加(『現象学的心理学への招待』1-5章)

研究アーカイブに以下の資料を追加しました。
  
D・ラングドリッジ (2007/2016). 田中彰吾・渡辺恒夫・植田嘉好子訳『現象学的心理学への招待-理論から具体的技法まで』(第1-4章)新曜社

D・ラングドリッジ (2007/2016). 田中彰吾・渡辺恒夫・植田嘉好子訳『現象学的心理学への招待-理論から具体的技法まで』(第5章)新曜社
 
今回の資料は、ダレン・ラングドリッジ『現象学的心理学への招待』の要約です。先日、能智正博先生が主催する臨床心理学研究会という集まりに初めて参加しました。この本を取り上げて読書会を実施するので、田中は訳者ということでお声がけいただいたのがきっかけでした。

渡辺先生、植田先生、田中と、訳者3人はそろって参加したのですが、東大の会場まで足を運べたのは渡辺先生のみで、植田先生と田中はスカイプで加わりました。開始が14時だったのでドイツは朝7時(!)でした。いや、朝7時は普通に起きていることのほうが多いのですが、この日は前日に全編をもういちど読み通すという作業をやっていたら終わったのが深夜3時前で、実質3時間ぐらいしか寝ていなかったのでした。

しかしこうして学び直すと得るものは多いです。参加できて幸いでした。というのは、訳者であっても、原著の理解に行き届かないところは残るのですよね。翻訳するときには原文をできるだけ明示的に理解するよう努めていますが――この場合の「明示的」は、著者の主張を日本語にして、さらにそれを自分の言葉で語り直すことができるくらい、というのが目安です――自分の得意でない分野を扱っている箇所はそこまでの明晰さがなかなか及びません。読書会で他の人のコメントを聞いたり、自分で説明を加えたりしながら、暗黙の理解にとどまっていたことが改めて明示的な理解に転換したポイントがいくつかありました。
 
今回は、能智先生のご協力でレジュメを当サイトの資料としてご提供いただきました。当初の予定では読書会当日に最終章まで読み切ることになっていたそうですが、内容がなかなかハードなので、今回は前半5章までで終了しました。レジュメは、1~4章を能智先生が、5章を博士課程の横山さんが担当されています。

次回は6月10日(土)だそうです。次回のみの参加も可とのことですので、ご関心のある方は田中までお問合せください。現象学に裏付けられた質的研究に関心のある皆さんにとっては、心理学を専門にしていてもいなくても、学ぶことがとても多い本だと思います。

2017年1月9日月曜日

『現象学的心理学への招待』PDF

帰国後、某所で教える予定になっている科目のシラバス書き。

心理学の哲学に関する科目なので、せっかくだから現象学的心理学を教えることにしました。昨年7月に『現象学的心理学への招待』の邦訳を刊行できたこともあるし、教科書に使うにはちょうどいいかと思った次第です。

それで、久しぶりに刊行元の新曜社のページにアクセスして気づいたのですが、この本、目次と日本語版の序文だけではなくて、第2章の途中(11ページ)までPDFで読めるようになっていたのですね。気づかなかった…というか教えといてくださいよ、新曜社さん。

ここのページ(『現象学的心理学への招待――理論から具体的技法まで』)にある「ためし読み」という青いボタンをクリックするとPDFに飛べます。タダなのでアクセスしてみてください。第1章はすべて読めるという気前の良さ、素晴らしい。

訳者解説にも書いたのですが、現象学的心理学って、哲学的基礎から具体的な研究法までコンパクトにおさえた本が少ないんですよ…。日本語で読めるものと言えば、ラングドリッジさんが書いたこの本か、あとはジオルジ『心理学における現象学的アプローチ』くらいのものです。

いずれも、心理学を質的研究としてやってみたい方、とくに哲学的な裏付けのある質的研究を学んでみたい方にお勧めします。